人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ユーゼフ・ラティーフ Yusef Lateef - スパルタカス愛のテーマ Love Theme From Spartacus (Moodsvill, 1961)

イメージ 1

ユーゼフ・ラティーYusef Lateef - スパルタカス愛のテーマ Love Theme From Spartacus (Alex North) (from the album "Eastern Sounds", Moodsville MVLP 22, April 1962) : https://youtu.be/BhqQFs7huwU - 4:15
Recorded at The Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, September 5, 1961
Released by Prestige/Moodsville Records MVLP 22, April 1962
[ Personnel ]
Yusef Lateef - oboe
Barry Harris - piano
Ernie Farrow - bass
Lex Humphries - drums

 日本では過小評価の大物中の大物テナーサックス奏者ユーゼフ・ラティーフ(1920-2013)はキャノンボール・アダレイのバンドに加入するまでずっとデトロイトのローカル・ミュージシャンでしたがすでに10作以上のアルバムを出しており、なんとチャーリー・パーカーと同い年生まれなのに2013年の大往生までアルバム制作もライヴも活発だった化け物みたいな人でした。ひょっとしたらユーゼフ・ラティーフは死なないんじゃないかと思われていたような人です。ラティーフはテナーだけではなくフルートとオーボエの名手でもありました。ビッグバンド出身の白人サックス奏者にはクラリネットは当然としてフルートとオーボエも手がける人も少なくはありませんが黒人サックス奏者でフルートはまだしもオーボエをソロ楽器で併用する人は珍しく、またラティーフはテナーとフルート、オーボエの使い分けも上手かったジャズマンでした。スタンリー・キューブリック監督作品、カート・ダグラス主演の大作歴史映画『スパルタカス』(アメリカ公開'60年10月)の映画音楽家アレックス・ノース(1910-1991)作曲のこの主題曲をいち早くオーボエによる演奏でジャズ・カヴァーし渋いスタンダード化したのもラティーフの功績です。
 その後この曲を愛奏曲とした人にビル・エヴァンスがいます。ちなみにユーゼフ・ラティーフはイスラム教徒名で、ラティーフさんの本名はウィリアム・エヴァンス、つまりビル・エヴァンスといいました。ピアニストの方のエヴァンスさんのヴァージョンはソロ・ピアノで演奏した録音とフルート奏者ジェレミー・スタイグ(1942-2016)との共演アルバムがあり、人気の高いスタイグとの共演版を上げますが、これは深みとコクでラティーフさんのオーボエバド・パウエル派ピアニスト、バリー・ハリス・トリオによるバンドの演奏の圧勝ではないでしょうか。同時期のジョン・コルトレーンの映画挿入歌のジャズ・カヴァーの大ヒット作「My Favorite Things」に匹敵する素晴らしい最新スタンダード曲演奏です。

イメージ 2

Bill Evans Trio with Jeremy Steig - Love Theme From Spartacus (from the album "Bill Evans with Jeremy Steig / What's New", Verve V6-8777, 1969) : https://youtu.be/oeu3NR9Alx4 - 4:58
Recorded in New York City, January 30, February 3 & 5, March 11, 1969
Released by Verve Records V6-8777, 1969
[ Bill Evans Trio with Jeremy Steig ]
Bill Evans - piano
Jeremy Steig - flute
Eddie Gomez - bass
Marty Morell - drums