Track 1 was digitally recorded live during Klaus Schulze's performance at London's Royal Festival Hall on 10th September 1991, Track 2 recorded 1992 at Moldau Musikstudio.
Released by Virgin Records Venture CDVE916, November 9, 1992
Produced and all Composed by Klaus Schulze
(Tracklist)
1. Yen - 44:32
>>1. Out Of Limbo - 7:35
>>2. Pastorale: Awakening - 4:52
>>3. Lull Before The Storm - 1:21
>>4. Tempest - 2:42
>>5. Pastorale Too - 2:42
>>6. Pastorale And Departure - 5:23
>>7. Yearning - 7:27
>>8. Placid Yen - 5:31
>>9. The Breath Of Life - 2:51
>>10. Back To Limbo - 4:08
2. Silence And Sequence - 24:57
>>1. Perigee - 6:57
>>2. Gentle Wind - 4:57
>>3. Fire-Riser - 7:22
>>4. Clear Water - 5:41
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
*
(US. Virgin/Caroline "Royal Festival Hall Vol.1" CD Liner Label)
シュルツェが初めてライヴでソロ演奏を披露したのはアシュ・ラ・テンペルのメンバーとしてステージに立った'73年2月のパリでのコンサートで、アシュ・ラ・テンペルでの演奏とともにシュルツェのソロ演奏のコーナーが設けられ、50分におよぶ演奏で観客の大喝采を浴びたのが、まだシュルツェの個人名義のアルバムは『Irrlicht』'72だけしか発表されていなかったので、それまでのタンジェリン・ドリーム~アシュ・ラ・テンペルでのバンド・メンバーとしての活動からソロ活動に専念する自信に結びついたと、シュルツェ自身が発言しています。'96年に発売されたマニュエル・ゲッチング(アシュ・ラ・テンペル~アシュ・ラ)の発掘音源集『The Private Tapes』全6枚にもシュルツェ在籍時のアシュ・ラ・テンペルの未発表ライヴが収録され、最短でも1曲25分~最長55分にもおよぶ、多くは40分前後にも渡って演奏されている即興性の高い未発表曲で、シュルツェ自身のソロ演奏もライヴではLPフォームのアルバムには収まりきらない長さのものでした。スタジオ録音ではシュルツェはもっと凝縮した表現をアルバムに収めていたのですが、LP片面で収録時間限界の片面30分1曲を一貫して行っていたアーティストとしてシュルツェはロック系ミュージシャンでも例外的存在でしたし、後のボックス・セットや再発CDの未発表ボーナス・トラックでLPフォームの片面30分以内には収まらないスタジオ録音を'70年代の早くから行っていたのも明らかになりました。また、クラフトワークとは異なる方向性ながら、エレクトロニクス音楽として機材の発展がシュルツェの音楽をライヴでもより精緻なコントロールの利く、従来シュルツェが行ってきたスタジオ・ライヴ的な録音よりもさらに精度の高い演奏を可能にしたことが本作のライヴ・トラック「Yen」を聴いてもうかがわれます。本作はスタジオ録音の「Silence And Sequence」ともども'70年代の名作『Timewind』を思わせる暗鬱で静的なムードの音楽ですが、一聴して抽象性が高いように見えて実際はサンプリングされた男女の肉声や現実音が効果的に使用されており、また非常に細分化されたビートのリズム・トラックが用いられているのがドローン手法を主にした『Cyborg』'73や『Timewind』とは異なる発想の音楽にしており、全体のムードがサブリミナル的に'70年代シュルツェの音楽を想起させる仕上がりです。革新性ではロック系音楽にまったく前例のない作風を打ち立てた『Cyborg』や『Timewind』にはおよばないとも言えますが、'90年代の新作アルバムでそれら初期の名作に引けを取らない内容を作り上げた本作は、『The Dresden Performance』に続いてシュルツェの本気の実力を示す名作であり、より躍動感に富んだサウンドが聴ける『Royal Festival Hall Vol.2』とともに非常に充実したシュルツェ作品が聴けるアルバムです。特に『Timewind』との親近性が感じられる点では、シュルツェのリスナーとしては胸に迫るものがあります。