人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アシュ・ラ・テンペル Ash Ra Tempel - ジョイン・イン Join Inn (Ohr, 1973)

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アシュ・ラ・テンペル Ash Ra Tempel - ジョイン・イン Join Inn (Ohr, 1973) Full Album : https://youtu.be/pcUlogjkcto
Recorded at The Studio Dierks, Stommein, by Dieter Dierks during breaks in the sessions for the Walter Wegmuller album Tarot album, December 1972
Released by Metronome Records GmbH, Ohr OMM 556.032, April 10, 1973
All Composed and Performed by Ash Ra Tempel
(Seite 1)
A1. Freak'n'roll - 19:15
(Seite 2)
B1. Jenseits - 24:18
[ Personnel ]
Hartmut Enke - bass
Manuel Gottsching - guitar
Rosi - vocals
Klaus Schulze - drums, organ, 'synthi A'

(Original Ohr "Join Inn" LP Liner Cover & Seite1/2 Label)

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 発売はヴァルター・ウェグミュラーの『Tarot』'73の方が先になるようですが、クレジットの通り本作はコズミック・ジョーカーズ・セッション・アルバム第1弾の2枚組大作『Tarot』のレコーディング合間に録音されたアシュ・ラ・テンペル4作目のアルバムです。アシュ・ラ・テンペルは第2作『Schwingungen』'72ではクラウス・シュルツェが抜けてマニュエル・ゲッチングとヘルトムート・エンケがゲスト・ミュージシャンを迎えてアルバムを制作する体制になり、第3作『Seven Up』'72も第2作と同傾向で、この第3作はLSD研究・普及活動家のティモシー・リアリー博士を迎えてパーティー形式でスタジオ・ライヴ録音された音源を編集したものでした。『Schwingungen』『Seven Up』の2作はA面がヴォーカル入りヘヴィ・サイケ、B面がメディテーション・ミュージックの構成で、つまりデビュー作にヴォーカルが入った恰好です。クラウス・シュルツェは'72年に『Irrlicht』でソロ・アーティストとして出発していましたが、コズミック・ジョーカーズ・セッションで顔を合わせたついでに再会セッションのアシュ・ラ・テンペルのアルバムを作ろうとOhr主宰者のロルフ=ウルリッヒ・カイザーから提案があり、ほとんどデビュー作と同じA面はギター、ベース、ドラムスの即興ヘヴィ・ロック、B面はメディテーション・ミュージックで、こちらはマニュエル・ゲッチングの恋人ロジ・ミュラーのウィスパー・ヴォイス入りなのがこのアルバムです。
 本作発表後、まだライヴ・アクトとしては地位を確立していなかったシュルツェはアシュ・ラ・テンペルのメンバーとしてライヴ活動を行い、アシュ・ラ・テンペルのステージ中でソロ演奏のパートを披露して大きな評判を呼んだのがシュルツェがソロ活動に専念し、ソロでのライヴにも乗り出すきっかけになったそうですが、一方その'73年のツアーを最後に、もっとも徹底したヒッピーだったエンケはアシュ・ラ・テンペルを脱退し、再びミュージシャン活動に戻ることなく伝説的存在となりました。2000年にゲッチングとシュルツェはアシュ・ラ・テンペル一時的再結成アルバム『Friendship』をデュオで制作し記念コンサートを開きますが、エンケの音楽活動復帰は絶望的に無理だったそうで、2005年に53歳で逝去します。『Join Inn』のジャケットとクレジットはエンケ、ゲッチング、ロジが縦に並び、手前に別枠でシュルツェの写真がはめこまれています。本作がエンケ最後のアルバムなのを予告してフィーチャーし、シュルツェはすでにソロとして独立したと強調するかのようなジャケットです。