クラウス・シュルツェ Klaus Schulze - ダス・ワグナー・デザスター Das Wagner Desaster - Live (ZYX, 1994)
Recorded during KS's solo concerts in Paris and Rome on 27th and 31st of May 1994 & at Hambuhren, KS Moldau Musik Studios, August 1994
Released by ZYX Music ZYX 90000-2, December 1, 1994
Produced and Composed by Klaus Schulze
(Tracklist)
(Disc 1)
1. Wagner (Wild Mix) : https://youtu.be/YK4Rx0EBDXM - 28:27
>1-1. Intro: Metamusik - 4:10
>1-2. Ohne Visionen Kein Erfolg - 18:02
>1-3. You Have To Remain Crazy - 6:15
2. Nietzsche (Wild Mix) - 28:37
>2-1. Intro: Gotzendammerung - 6:36
>2-2. Geist Ist Auch Wollust - 16:29
>2-3. Der Schwer Gefasste Entschluss - 5:32
3. Entfremdung (Wild Mix, Encore Paris) - 10:00
(Disc 2)
1. Liebe (Soft Mix) - 27:56
>1-1. Kurzschrift Der Gefuhle - 3:37
>1-2. Wie Ein Schlafender Schwan - 18:03
>1-3. Pfeil Seiner Sehnsucht - 6:16
2. Hass (Soft Mix) : https://youtu.be/OryseGmpffg - 28:35
>2-1. Erste Poetische Epistel - 6:36
>2-2. Schwarze Milch Der Fruhe - 13:40
>2-3. Pele-mele - 8:19
3. Versohnung (Soft Mix, Encore Rome) : https://youtu.be/z1EqttG-Pd4 - 11:42
(Reissued SPV CD Bonus Track)
1. Encore Sevilla : https://youtu.be/vcDwKyRnR4w - 19:17
[ Personnel ]
Klaus Schulze - synthesizer, guitar, keyboards, voices, producer, computers, sampling, mixing, concept, Mini Moog
Dennis Lakey, Roelof Oostwoud - sampled operatic voices
Akai Adam - supported recording engineering
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(Original ZYX Music "Das Wagner Desaster - Live" CD Liner Cover & Inner Song Information Sheet)
1994年にはクラウス・シュルツェのアルバム4作を締めくくる同年12月発売の本作は『ドーデの水車小屋(サウンドトラック)』(5月発売)、『ゴーズ・クラシック』(6月発売)、『トーテンタグ(自殺の日)』(9月発売)に続くもので、この『ダス・ワグナー・デザスター』でシュルツェのアルバムは第1作『イルリヒト』'72から数えて第30作になり、'93年の10枚組未発表音源ボックス・セット『Silver Edition』を1枚ごとに単独アルバムと見なせば第40作になります。'90年代のシュルツェの単発アルバムは'95年に『In Blue』、'96年に『Are You Sequenced?』、'97年に『Dosburg Online』と続きますが、さらにシュルツェはやはり未発表音源ボックス・セットを'95年に『Historic Edition』(10枚組)、'97年に『Jubilee Edition』(25枚組)とリリースし、2000年には上記3セットを増補改訂して50枚組『The Ultimate Edition』にまとめ直しており、さらに純粋な新録音の未発表音源ボックス・セット『Contemporary Works I』(10枚組)を2000年に、『Contemporary Works II』(5枚組)を2002年に発表しましたので、2001年に『Live @ KlangArt』のあと体調不良で2002年~2004年には単独アルバムの発表は休止しましたが、2005年の活動再開作『Moonlake』は単独アルバムでは第35作ながらボックス・セットを含めれば通作第96作目になりました。'94年はシュルツェの活動がそれまでよりは単独アルバムの発表では鈍る前の大爆発の年だったので、CD1枚ものの『ドーデの水車小屋』が以外は『ゴーズ・クラシック』『トーテンタグ(自殺の日)』『ダス・ワグナー・デザスター』のいずれもCD2枚組であり、LP時代にもLPフォーマットでは収録時間の限界のAB面各30分ぎりぎりまで収録するアルバム作りをしていたシュルツェは、CDフォーマット前提でアルバム製作をするようになってもCD1枚収録時間ぎりぎりの78分に迫るアルバム製作をしているので、『トーテンタグ』などはオペラ作品でしたから2枚組各60分前後でしたが珍しい例外としても、一般的なLP時代のアルバムからはシュルツェのCDは1枚ものでもLP2枚組、2枚組CDならばLP3枚組~4枚組の収録時間があります。'94年の4作が1枚ものの『ドーデの水車小屋』でもLPフォーマットなら2枚組相当、さらに3作がCD2枚組の大作なのは収録時間面でもシュルツェの場合はとんでもないので、なにしろアルバム1作(2枚組)が2時間半あまりあるのですから旺盛な創作力どころではありません。
この'94年の4作はシュルツェの第27作~30作に当たりますが、それぞれ趣向の違ったもので『ドーデの水車小屋』はフランス映画のサウンドトラック、ドイツのZYXミュージックからの2枚組CD3作は『ゴーズ・クラシック』がクラシック楽曲のシュルツェによるエレクトロニクス・カヴァー集(1曲のみシュルツェの新曲)、『トーテンタグ』が全7景の本格的なオペラ作品、そして本作がローマとパリのコンサートからワグナーとニーチェに捧げた新曲のライヴにスタジオ録音を足して再編集した大作4曲にライヴ録音のアンコール曲2曲、という具合です。残念ながらアルバム収録曲中半分しか試聴リンクが引けませんでしたが、ディスク1とディスク2はそれぞれワイルド・ミックス(ディスク1)、ソフト・ミックス(ディスク2)に分けられており、2枚のディスクは3部からなる30分近い大作2曲とアンコール曲1曲という対になる構成になっていますから、試聴リンクの引けたディスク1のワイルド・ミックス曲1「Wagner」、ディスク2のソフト・ミックス曲2「Hass」に、ディスク2のアンコール曲「Versohnung」とSPV版リイシューCDのボーナス・トラック曲「Encore Sevilla」でアルバム全体の雰囲気はだいたいお伝えできると思います。2005年~2008年にリリースされたRevisited Recordsによるシュルツェ作品の決定版リイシュー・シリーズSPV Editionはマスタリングのミスや全作品を網羅していないことを筆頭に問題視されているのですがシュルツェ自身が協力しており、オリジナルがLP2枚組の『Audintity』'84では2枚組CDのリイシューに当たって曲順の組み替えがありましたが、本作もSPV版2枚組CDではディスク1を「Wagner」「Nietzsche」「Entfremdung 」「Versohnung」とし、ディスク2を「Liebe」「Hass」「Encore Sevilla(SPV版ボーナス・トラック曲)」としています。「Encore Sevilla」は「Entfremdung 」「Versohnung」を合わせたくらいの長さのアンコール曲ですからオリジナルのZYXミュージック版とディスク1、2の構成はさほど変わっていませんが、2枚組CDが1枚ずつ対になるような構成への配慮がオリジナル版でも図られていたのですからSPV版での構成は付加価値としてボーナス・トラック曲を収録するための改悪になってはいないかという感じもします。アルバムとしては『ゴーズ・クラシック』と『トーテンタグ』が特殊な作品だったために本作ではライヴの方が明快な性格の出るシュルツェ作品の快作になっていますが、小品集『ドーデの水車小屋』あたりはまだしも本作のような大作となると先にシュルツェ初期~中期の代表作を聴いてからでないとやや閾の高いアルバム(特殊な企画の『ゴーズ・クラシック』や、本格的現代音楽オペラ作品『トーテンタグ』ほどではありませんが)かもしれません。