人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

クラウス・シュルツェ Klaus Schulze - イン・ブルー In Blue (ZYX, 1995)

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クラウス・シュルツェ Klaus Schulze - イン・ブルー In Blue (ZYX, 1995) Full Album + Bonus Disc
Recorded at Hambuhren, KS Moldau Musik Studios, November to December 1994 (Original Album)
Released by ZYX Music ‎ZYX 90001-2, February 28, 1995
Produced and Composed by Klaus Schulze
(Tracklist)
(Disc 1) : https://youtu.be/GsgoZoCnX1g
1. Into The Blue - 78:25
>1. Into The Blue - 15:24
>2. Blowin' The Blues Away - 20:05
>3. Blue Moods - 4:29
>4. Wild And Blue - 35:35
>5. Out Of The Blue - 2:52
(Disc 2) : https://youtu.be/TztQHdnU7_g
1. Return Of The Tempel - 44:38
>1. Midnight Blue - 9:46
>2. Return Of The Tempel - 28:42
>3. Blue Spirits - 4:30
>4. True Blue - 1:40
2. Serenade In Blue - 34:19
>1. Aubade - 6:16
>2. Kind Of Blue - 18:06
>3. Blue Hour - 4:01
>4. Serenade - 5:56
(Reissued SPV CD Bonus Disc Bonus Tracks) : https://youtu.be/7-ihL_jJpEI
1. Musique Abstract (live 1994) - 7:02
2. Return of the Tempel 2 (live 1997) - 13:51
3. Out of the Blue 2 (live 1983) - 32:20
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
Manuel Goettsching - guitar (on "Return Of The Tempel")

 前年'94年に映画サウンドトラック、クラシック楽曲のエレクトロニクス録音集(2枚組)、本格的現代音楽オペラ作品(2枚組)、大作ライヴ(2枚組)と4作も力作を発表したシュルツェですが、'95年の新作単独アルバムは通算第31作(未発表音源集『Silver Edition』'93/10CDを数えれば41作目)の『イン・ブルー』1作で、この年はさらに10枚組CDの未発表音源集『Historic Edition』もリリースされますが、『イン・ブルー』は全曲英語タイトルにも表れているようにひさびさにワールド・ワイドなリスナーを意識したアルバムと思われ、それは'80年代末~前年までのサンプリングを多用したドラマティックな音楽性から『Mirage』'77~『Dune』'79頃を思わせるシークエンサーに乗せたゆったりとしたインプロヴィゼーションに回帰していることでも、'94年までのアルバム(とこのあと発表する未発表音源集『Historic Edition』)でサンプリング多用の音作りと現代音楽的な作曲・編曲にシュルツェ自身がひとまず区切りをつけたのでしょう。前年のアルバムでは映画サウンドトラックの小品集『ドーデの水車小屋』がメロディアスな小品が揃って比較的親しみやすいアルバムでしたが、それでもやはり重厚なサンプリングの多用は目立っていたので、本作の'70年代末の作風に近い、音数の少ない音楽はかえって新鮮に響きます。
 本作でもサンプリング音が完全に廃されているのではありませんが、使用法はかつてのメロトロンに準じたシンプルなものです。またマニュエル・ゲッチングがギターで1曲参加しているのも聴きもので、ゲッチングとはアシュ・ラ・テンペルのデビュー・アルバム('71)と『Join Inn』'73、名作を多数含む'73年録音のコズミック・ロッカーズ・セッションの諸作、ヴァーンフリート・プロジェクトの快作『Tonwelle』'81以来の公式録音で、ゲッチングの参加したディスク2の45分におよぶ「Return Of The Tempel」はタイトル通りゲッチングとシュルツェのアシュ・ラ・テンペル再びといった趣きがあり、これがこの二人によるデュオ編成でのアシュ・ラ・テンペルの特別再結成アルバム『Friendship』2000と1回きりのライヴ『Gin Rose at the Royal Festival Hall』2000につながっていくのですが、2005年発売の本作の再発売版ではまるまる1枚ライヴ録音のボーナス・ディスクがつき、ゲッチングとのライヴでの共演は『Friendship』に先立つ'97年に行われて「Return Of The Tempel」が再演され、また本作アルバム・タイトル曲といえるディスク1全編を使った79分の曲は'83年のライヴで原型となる演奏が行われていたのが発表されました。今回は'90年代以降のシュルツェのアルバムで全曲試聴リンクが引けるのも嬉しく、内容も初期からのシュルツェのリスナーに懐かしさを感じさせるものだけに、未聴のかたはぜひご試聴ください。曲は長大ですが適度な間があり、この良い意味での軽さ、軽やかさもシュルツェのアルバムではひさびさに感じられるものです。