人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ストーンズ「山羊の頭のスープ」

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 「山羊の頭のスープ」'Goats Head Soup'はローリング・ストーンズの1973年のアルバム。No.1ヒット「悲しみのアンジー」'Angie'収録、アルバムも英米でNo.1ヒットを記録。表ジャケットはミック・ジャガーの生首スープ、裏ジャケットはキース・リチャーズ、見開きには残り三人、レコード内袋は本物の山羊の生首スープと念入りなアートワークです。
 山羊はともかく、メンバー全員の頭部のレプリカを造って着色したゼラチンで覆ったのでしょう。アルバム・タイトル曲は存在しません。強いてアルバム・タイトル=ジャケットと内容の関連といえぱ当時珍しいジャマイカ録音、アルバムのオープニング・ナンバーが『悪魔を憐れむ歌』の続篇的なヴードゥー的ナンバーであることくらいでしょうか。ストーンズのユーモアのセンスには時々ついて行けないものがあります。
 2005年のスタジオ盤「ア・ビガー・バン」、翌年のライヴ盤「シャイン・ア・ライト」以来ストーンズは新作がなく、全盛期の傑作アルバムの増補改訂版(「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」「メイン・ストリートのならず者」)やライヴ・フィルムのロードショー(「コックサッカー・ブルース」)のプロモーションくらいでしか姿を現さない近況ですが、ミック、キース、チャーリー三人とも68歳で現役なのですから無理は言えません。「シャイン・ア・ライト」のDVD版を見るとミック・ジャガーは60歳を越えても腹筋が割れており、2時間ノンストップで歌いながら踊り続けています。
 やや寂しいのは、アルバムやシングルを出すごとにNo.1ヒット、悪くても3位以内に送り込む業績が20年来停滞していることでしょう。83年の「アンダーカヴァー」の後にミックの初ソロ・アルバムとツアーがメンバーたちの反感を押しきって敢行され、86年の「ダーティ・ワーク」は過去最低の評価とセールスを記録しました。メンバーが団結力を高め、ライヴ活動にプライオリティを置いたのが復活劇といえる89年の「スティール・ホイールズ」で、以来彼らはアルバム発表に伴わなずとも大規模なツアーを続けています。純粋にアルバムだけで逐えば81年の「刺青の男」がレコーディング・バンドとしての最後の輝きで、20年どころかもう30年になります。
 「~スープ」はいわば普通のストーンズ。もちろん最高です。