人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ソーニャさんのおヘソ

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●カーヴド・エア「ファンタスマゴリア-ある幻想的な風景-」Curved Air'Phantasmagoria'1972

カーヴド・エアは1969年にソーニャ・クリスティーナ(ヴォーカル)、ダリル・ウェイ(ヴァイオリン)、フランシス・モンクマン(キーボード、ギター)を中心に結成されたイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド。ウェイとモンクマンは高い音楽教育を受けており、洗練された玄人好みのバンドだった。70年「エア・コンディショニング」、71年「セカンド・アルバム」と中ヒットを記録、「ファンタスマゴリア」で評価は絶頂をきわめた。
ソーニャさんは元来フォーク・シンガーだが事務所の画策でロック・バンドのヴォーカリストに起用され、バンドがプログレッシヴ・ロック路線でデビューしたのも事務所の意向による。こう書くといかにも主体性に欠けるバンドみたいだが、このサード・アルバムではメンバーは最善を尽くして名作と呼べる作品を作り上げた。
ソーニャさんのヴォーカルはこのバンドのチャームポイントであり、ウィークポイントでもあった。声量の乏しい、か細いソプラノで、フォークやボッサなら活きるかもしれないがロック・バンドのバックアップでは埋もれてしまう。
モデルさんや女優さんの余儀みたいな歌、というとあんまりだが、オリヴィア・ニュートン・ジョンをさらに地味にした感じ(オリヴィアはデビュー当初ロック雑誌で「歌うスチュワーデス」と揶揄されたのを今も恨んでいるそうだ)。
早い話がまずソーニャさんのルックスありきのバンドだったのである。「ファンタスマゴリア」ではか弱く不安定なソーニャさんのヴォーカルを活かした曲とアレンジにようやく到達する。オープニングから『マリー・アントワネット』『メリンダ』といった名曲が続く。特にベースとドラムスの柔軟なビートがヴォーカルと絶妙な絡みを聴かせてくれる。カーヴド・エアはここで完成形をみた。
…と思ったらソーニャさん以外のメンバーは全員脱退、若手メンバーを補充しアルバムを1作、それだけで若手メンバーも全員脱退してオリジナル・メンバーでライヴの名盤を1作、後はメンバーを交代しながらアルバム計7枚を残して77年に解散。
ソーニャさんは最近カーヴド・エアを復活させ、新作を出して来日もしたが、3サイズはB99-W99-H99と見た。ああ。