人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

夜ごと太る女・油そば編(3)

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まさか油そば編で3回も引っ張るとは思わなかった。そもそも「夜ごと太る女のために」シリーズはぼくの陰惨な女性経験から「男から見た女の不思議」を弾劾しようという、ボヤキというか負け犬の叫び(捨て犬でもいい)みたいなものだった。先の2回が意図不明なのは元の分量を半分近く削ったからでもある。たとえば(1)は本来こういう書き出しだった。

「世の中は知らなくてもちっとも差し支えないことで満ちている。昔のSFドラマではラスト・シーンで科学者のじいさんがヒゲをひねりながら『この世界にはまだ人類には解明できない謎があるのじゃ』と締めくくるのが定石だった。博士の台詞は探究心の勧めだが、たとえば皆さんはキメラパンダをご存じだろうか。本来は草食、しかも竹と笹の葉しか食べないとされるパンダだが、人工飼育下では雑食でも十分いけることが判明した。そのかわり雑食のパンダは急激に肉食化し遺伝まで受け継ぐ。性質はきわめて狂暴になり山羊や牛などの他種とも交尾する。そうして生まれたパンダをキメラパンダといい輸出用に雑食飼育を始めた中国本国では問題になっているが、なにしろ絶滅指定種なのでキメラといえども根絶できない。一説では純血種のパンダはもはや他国へのレンタルパンダしかいないと噂されるほどだ。同様の例はやはり飼育困難種のコアラでも報告され…」

バカじゃなかろうか(自嘲)。ここまでが全部「妻は切れた電球を持って電球を買いに行く女だった…乾電池の種類も知らずに済ませていた」という話題への前フリだ。で、別れた妻の話は「油そばなんて名前だけで嫌だわ」というところまで持っていくための前フリなのだった。キメラパンダの話はばっさり切ったが、伊丹十三のレコードの話は面白いから削れない。
別れた妻はウソをついたり調子を合わせたりができない女だった。彼女がぼくを担いだのは離婚の計画と警察に密告した時だけだ。妻には「望郷」や「勝手にしやがれ」など、いちばん愛して信頼している女に密告されるという滅多に出来ない映画的経験を与えてもらったわけだ。婚約中のデートでは「勝手にしやがれ」や「四畳半襖の下張り」を見て泣いていた彼女だったのだが。
'You Can't Judge A Book By The Cover'と言えば故ボ・ディドリーの名曲だ。銘記しておきたい。(次回はちゃんと油そばの話にします)