人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ドキンちゃんとばいきんまん

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今回は素顔もOKが出た。前回のブログ記事の反響は話してある。
「また写真いいですか?顔も入れますよ」
「ええ」と前回と同じ位置に立ち、カーディガンを脇に開きにっこりする。もっとも彼女の笑顔以外を、ぼくは知らない。
この人がオレンジ色の制服で「宇宙戦艦ヤマト?」とか「ドキンちゃん!」とご好評いただいた、ぼくのかかりつけの歯科衛生士のヤマギシさんである。職業柄化粧っ気はないがおっとりとした優しい女性で、この5年まったく容姿に変りはない。もちろん彼女の年齢の話など本人とも他の衛生士さんとも話したことはない。やむなく入院した時以外は5年来毎月1回通院しメンテナンスとクリーニングを受けてきた。
昨日は1年前の入院で同室だったミツハシさん(ぽくより10歳年長)が訪ねてきてくれ、今日(6日)は新年はじめての訪問看護を受け、そのあと歯科に通院した。アベさんの訪問看護の直後に歯科を組むのは、ぼくはクリニックと訪問看護しか人と話す機会がなく、会話の予習なしでは頭の回転も滑舌も悪いからだ。
「あけましておめでとうございます」とヤマギシさん、「年賀状ありがとうございました」
「こちらこそ」とぼく、「クリスマス・カードありがとうございました」
ヤマギシさんは白いカーディガンを羽織っていたが、制服は色違いの紫だ。ばいきんまんヴァージョンもあるなんて出来すぎていて可笑しい。
メンテナンスが済み、クリーニングの途中でペーストを塗りひと休みする。駅前ロータリーの向いに閉まったシャッターが見える。
「新しいお店が入りませんね」と、ぼく。「寂しいですね。鍵屋さん、便利だったのに」と彼女。
「癌でお店を閉めたんですよ」とぼく。「よくソウル・ミュージックを流していて、それで立ち話するようになったんですが…一昨年に肝臓ガン手術から4年経った、と言ってたな。それまでは毎日バーボン1本。手術のあともステージ3だったけど、ちょうど1年前にステージ4、末期で余命宣告を受けて」「そうだったんですか」「はい」
もちろん鍵屋のご主人の過去には触れなかった。昨日訪ねてきてくれたミツハシさんは腎不全と鬱から自殺未遂を図り、精神病棟で同室になったのだった。ぼくは今年になってからホームレスになる夢を2回、殺される夢を1回見た。そして今、テレビで「ベンジャミン・バトン~数奇な生涯」を見た。