人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

わが愛しのバッジー

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70年代イギリスのハードロック・バンド、バッジー(Budgie)。この名をどれだけの人が知るだろうか。意外というかさすがというか、過小評価バンドの再評価に熱心なメタリカが早くからバッジーの代表曲を2曲カヴァーしている(『ブレッドファン』Breadfan、『脳手術の失敗』Crash Course In Brain Surgery)。カッコいいじゃん、と思ってバッジーのオリジナルを聴くメタル・リスナーの9割はスカスカでヘナヘナな音に落胆する。
アメリカ最大のロック雑誌「ローリング・ストーン」の評価はどうか?翻訳のある79年版の「ローリング・ストーン・レコード・ガイド」(講談社82年)から引用しよう。
まずアルバムはすべて★ひとつ。本文は「今となっては伝統的な香りさえするパワー・トリオ形式のバンドでアイディアもフレーズも、曲もあきれるほどおそまつ。サウンドは薄っぺらで音楽は古くさくてくどくどしく、このバンドがこれだけ長続きしたこと自体、まったくの楽観主義とほめたたえたいところ」(全文)
にべもないが、このレコード・ガイドはメタルが嫌いで、バッジーの先輩ブラック・サバスですら「パラノイド」★★を除いて全作★だ。評価はさらに嘲笑的で「イギリスのヘヴィメタルの王者と自称するこのグループのその愚行と手におえない始末の悪さは永遠に際立っている。70年代初めにはその陰気で単調なおしゃべりが皮肉として受け入れられていた。つまり、世の中すべてがくだらないことだらけであるという思想や『エクソシスト』以前の悪魔にとりつかれた悪ふざけのことである。時は流れ、彼らは過去の存在となった」

どちらの評価もおおむね妥当だろう。ファンである人間も納得。で、そのどこが悪いんだと開き直るのもファンなのだ。
バッジーの名作は第3作「友情」'Never Turn Your Back On A Friend'1973(上)、第4作「イン・フォー・ザ・キル」'In For The Kill'1974(下)、第5作「バンドリアー」'Bandolior'1975だろう。82年リリースの「ベスト・オブ~」(中)はこの3作からの精選で、キンクスの「ヴィレッジ・グリーン」と並んで2歳の娘が「トンネル」と「トリさん」とお気に入り(ジャケだけ)だった。
それでバッジーは?結成40年の今も健在なのです。