人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(17)地獄へのビリエット(片道切符)

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再度ビリエット・ペル・リンフェルノ(Biglietto Per L'Inferno,1974/2009-)を紹介する。「地獄への乗車券」というすごいバンド名だから検索一発で出る。しかもデビュー作と発掘ライヴ全曲、09年の復活ツアーやドキュメント映像がYouTubeで視聴できる。メンバー公認のようだ。

唯一のアルバム(だった)「地獄への乗車券」1974(画像1)は38分・全6曲の力作で、2キーボード、荒々しいギター、強力な歌唱(フルート、フリューゲルホーン兼任)で圧倒的なインパクトを持つ。曲目で雰囲気は伝わるだろうか。
1.苦悶/2.告白/3.奇妙な王女/4.雪が降る/5.自殺した友よ/6.告白(inst.)
このうち上品と野卑の対比の3がシングルになったが、ハイライトは絶望と激情の大作5(13分半。3も6分だが)だろう。元々このバンドの曲は静と動の対比だけなのだが、ここまで壮絶なのは世界的にも例を見ない。検索用に原題を。「L'amico Suicida」です。

74年末録音の第二作「種まきの時」(画像2)は先行シングル発売予定日10日前にレーベル倒産。バンドは解散しヴォーカリストは修道士になった。プロ活動を続けたのは唯一リーダーのみでスタジオ稼業のかたわらシンセサイザー・アルバムを発表。ドイツの巨匠クラウス・シュルツェに招かれソロ活動を続ける。82年にお蔵入りテープを完成させ、92年に伊日同時発売された。前作よりやや平坦に聴こえるのは傑出曲がないのとギターが埋れたミックスだからだろう。テクはあまりないが爆発力はあるギターが前作の魅力だった。全6曲。
1.種まきの時/2.明晰な思考/3.血生臭い戦いへの追想/4.皇帝の崇高なる芸術/5.私は生き残った/6.神父の歌

04年には前記2作と発掘ライヴ、ドキュメントDVD、伝記本を含むデビュー30周年豪華ボックス・セット発表。発掘ライヴは08年単体で発売(画像4)。デビュー作全曲と第二作の表題曲が聴ける。UFOの前座ツアーからのカセット録音だが音質も演奏もいい。

そして2010年、女性ヴォーカルを迎え往年の曲をフォーク・アレンジで再録音した第三作「非合理と合理のあわいに」(画像3)伊日同時発売。「74年・92年・10年と18年周期でアルバム発表!」という豪快なコピーには笑った。