予約時刻は朝10時、受付に着いたのが10時半。いま10時50分…
と、いつも通りの診察が終った。いろいろやりくりで苦労して「しくじったなあ」と気落ちしましたが、なんとか落ちついて過ごしています。最近寝坊して予約時刻遅刻が多いので気をつけます。日曜晩はテレビで映画放映があるので頭が冴えてしまい寝つきが悪いんです。詰まらない映画ほど悪い。不満が残るからでしょう。
「DVDレコーダー欲しいよね」
価格を調べると型落ちの地上アナログ・チューナーで1万5千円、デジタル・チューナーで2万5千円が底値でした。来月は最小限の生活費と借金返済を確保し、その上で8千円かかる革ジャンのチャック交換をするかどうかだから、DVDレコーダーは高嶺の花です。
「今月は大丈夫?」
食品は買い込んでありますからご飯に缶詰、レトルト、納豆、味噌汁。それからスパゲッティと、猫マンマ程度の食事はできます。借金したとはいえ、電話も止まらずに済みましたし。
「来月の受給日までの辛抱だね」
-と、ほとんど生活報告だけで終った診察だった。だが躁鬱病は気分障害の一種だし、ぼくのように独り暮らしの上に親密な人間関係もない男はいつの間にか病相を悪化させている危険もある。毎週月曜に受診、金曜に訪問看護があるのも経過監察のためだ。
「金曜の晩も寝つきが悪いですね。アベさんと1時間話すから」
「それは必要な事だよ」
「はい。それは解っています。ぼくは自然に人と接する能力を回復しなければならない。一時は画廊の常連になったり教会の礼拝出席も勤勉だった。それも今はできないくらい退行してしまった。ぼくに会話の機会があるのは必要最小限、福祉関係と医療関係のかたがただけです」
診察室を出ると待合室は空だったが、すぐに人が入ってきた。薬局に処方箋を出し、分包のため時間がかかるので駅前の不動産屋に来月分の家賃を納めて、ローソンでハガキ3枚買って一旦帰宅。洗濯物を干し、「ヤマザキ秋のわくわくプレゼント」に別れた妻子の住所と名義で応募ハガキを作る。彼女らはくじ運が強いのだ。応募が外れたことがない。セーラームーン・ミュージカルも2度見た。ダイエーでビンゴがあれば必ず1等。大型プールでの魚釣り大会では娘2人はアジ、妻は鯛を釣ってしまった。ぼくも映画館や遊園地の券がバシバシ当るので、遠い妻子に送っている。