人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(38b)ホレス・パーラン(p)

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ホレス・パーラン(Horace Parlan)のブルー・ノート・レーベル契約第一弾は59.11のルー・ドナルドソン「ザ・タイム・イズ」だったが、レーベルは早くもパーランのリーダー起用を決定し、ジーン・ハリス(ピアノ)の「ザ・スリー・サウンズ」に続くレギュラー・ピアノ・トリオの企画を立てた。思い立ったらすぐ実行するのがジャズのいいところで、ベースはサム・ジョーンズ、ドラムスはアル・ヘアウッドで制作された第一作「ムーヴィン&グルーヴィン」'Movin' & Groovin''60.2(画像4)は8曲中1曲のみオリジナルのスタンダード集(半数はジャズマン曲)になった。好感は持てるが、このジャケット通りこぢんまりしたアルバムという印象は拭えない。

パーラン・トリオの大爆発は次の「アス・スリー」'Us Three'60.4(画像1)で、オリジナルは7曲中3曲ながら、第二作にしてピアノ・トリオ史上最強の異色傑作を作ってしまった。この好調が第三作「スピーキン・マイ・ピース」'Speakin' My Piece'60.7(画像2)にも第四作「ヘッディン・サウス」'Headin' South'60.12(画像3)にも続く。なんといってもベースがジョージ・タッカーに交替したのが大きい。
パーラン/タッカー/ヘアウッドほど「黒い」リズム・セクションはピアノ・トリオ単体では類を見なかった。それは第二作のタイトル曲を聴いていただければわかる。ワン・コードのブルースで、ひたすら同じフレーズを反復しながらもベースとドラムスがじわじと熱くなっていく。氷水をいれたグラスが結露するように汗が滲む。さすがミンガスが見込んだ才能、ブッカー・アーヴィンの盟友だけある。

第三作はトリオ+トミー&スタンリー・タレンタインの兄弟トランペット&テナー・コンビのクインテットだが、作曲・アレンジに長けたトミーのオリジナル2曲とスタンリーの直球ブロウに胸がすく佳作。パーランのオリジナルは4曲。
だがトリオにレイ・バレットのコンガを加えた「ヘッディン・サウス」はさらに快調で、オリジナルは全8曲中バレット1曲、パーラン2曲ながらコンガが入っただけでこんなに盛り上がるのか、と感動する快作。
推薦曲は各アルバムのタイトル曲で間違いない。