人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46c)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
怒涛のブルーノート録音も4月~6月はやや落ちついて5月のベイビー・フェイス・ウィレット'Stop And Listen'を含め、
'Green Street'61.4(画像1)
'Sunday Mornin''61.6.4(画像2)
Horace Parlan'Up And Down'61.6.18(画像3)

-の4枚になる。ベイビー・フェイスはこのアルバムを最後にブルーノートを去り、90年代まで評価されなかった。
ホレス・パーラン(ピアノ)のアルバムはこの連載で紹介するのは3回目で、パーラン、テナーのブッカー・アーヴィンにとっても代表作といえる。バンドとしての一体感はあるが、グリーン自身はパーラン、アーヴィンを立てて一歩引いている様子もある。

だがグリーンは遂にリーダー作第2・第3作(前回の「リーチング・アウト」は除く)「グリーン・ストリート」「サンデイ・モーニン」で本領を発揮し、ベース、ドラムスだけのトリオでオリジナル中心にまとめた前者はオリジナルも変化に富んだブルースで聴きごたえがあるが、セロニアス・モンクの'Round About Midnight'は数あるヴァージョンでも瑞々しさでは群を抜く。定評あるウェス・モンゴメリーの名演すら凌ぐかもしれない。
オクターヴ奏法で鳴らしたウェスをはじめ驚異的なテクニシャン揃いのジャズ・ギター界にあって、グリーンはデビュー作からほとんどコードを弾かない(ほとんど単音しか弾かない)珍しいギタリストだったが、トリオ変成でもやはりコードはほんの少ししか弾いていない。このスカスカな音像がグリーンの場合はかえって魅力になっている。

次の「サンデイ・モーニン」はケニー・ドリューのピアノ・トリオをバックにさらに多彩な作品になっている。ブルースとモード・ジャズ系のオリジナルにスタンダード'God Bless The Child',映画「栄光への脱出」テーマ曲'Exodus',マイルスの'So What'までやっている。『エクソダス』も『ソー・ホワット』も当時は最新のレパートリーだったはずで、プロデュース上のサジェスチョンがあったとしてもグリーンとドリューのコンビはよくこなれている。