人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46b)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
本格的なニューヨークでのブルーノート・レーベル専属活動を始めて61年1月下旬の一週間でアルバム3枚に起用されたグリーンは、2月には3枚、3月には2枚のアルバムに参加する。うち2枚は別会社で、この5枚はサイドマン参加だったが、このうちの代表作は、
Stanley Turrentine'Up At The Minton's Vol.1'61.2.23(画像1)
Dave Bailey Quintet'Reaching Out'61.3.15(画像2)
Hank Mobley'Workout'63.3.26(画像3)

-このうちタレンタインのライヴ盤はVol.2もあり、デイヴ・ベイリー(ドラムス)のアルバムはジャズタイムというマイナー・レーベルで現在ではグリーン名義になっている(ジャケット参照)。1月~3月まででグリーンは11枚のアルバムに参加したわけだが、この61年は年末までにブルーノートに15枚、他のレーベルに4枚の参加アルバムがある。この集中的な録音起用は、50年代には先例があるが、ジャズ衰退期の60年代ではきわめて異例だった。

上記の3枚は、タレンタインとモブレーは言うまでもないが、「リーチング~」もテナーのフランク・ヘインズをフィーチャーした作りになっている。まるで無名の人だが、スタイルはジョー・ヘンダーソンとタレンタインの間のようで好ましい。タイトル曲はグリーンのオリジナルで後はブルースとスタンダード。グリーン自身の鮮やかなデビュー作「グランツ・ファースト・スタンド」(前回紹介)ほど緊張感はないが、砕けたハードバップ・セッションとして楽しめる。

タレンタインのライヴ盤はホレス・パーラン・トリオをバックに熱い演奏を聴かせる名演。冒頭のスタンダード'But Not For Me'でソロのフレーズが決まると「イエーッ!」と歓声があがり、ソロが熱気を帯びていく生々しさがたまらない。グリーンの初期ライヴはこれだけなのも貴重。

モブレーは前年の「ソウル・ステーション」「ロール・コール」と並ぶモブレー三大傑作と定評ある名盤で、「ソウル~」はスタンダードがいいが後の2作はオリジナルがいい。グリーンも普通に好調だがモブレー生涯のピークには印象が薄い。