人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46a)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
この連載はなるべく各楽器を均等に、たとえばアート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズ在団経験者の在団時代のアルバムを多く紹介することでフォローしてきたが、ピアニストが少なく、ギタリストに至ってはもっと少ない。項目があるのはウェス・モンゴメリーだけで、後はジミー・ジュフリーとポール・デスモントに絡めてジム・ホールを紹介したにとどまる。ウェスとホールを取り上げたなら、少なくともジミー・レイニーとケニー・バレルは逸することができない大物だろう。
だがウェスらに10年遅れてデビューした世代に、総合的な実力では見劣りすると見倣されながら珠玉のように愛されているギタリストがいる。ブルーノート・レーベル専属だったこともファンの思い入れは大きくアルバムの大半が現在でも再プレスされている。それがグラント・グリーンだった。それだけの人気に値するものが、確かにグリーンの音楽にはあったのだ。

シカゴのマイナー・レーベルに3枚のサイドマン参加作を残してニューヨーク進出したグリーンはルー・ドナルドソン(アルトサックス)の目にとまり、61年1月下旬に立て続けにブルーノートへの録音に起用される。それが、
Lou Donaldson'Here 'Tis'61.1.23(画像1)
Grant Green'Green's First Stand'61.1.28(画像2)
Baby Face Willette'Face To Face'61.1.30(画像3)

-の3枚だった。ベイビー・フェイス・ウィレットはグリーンと同時にドナルドソン・バンドに採用されたオルガン(兼ペダル・ベース)奏者で、この3枚はベイビー・フェイスの3枚でもある。ギター、オルガン、ドラムスというのはオルガン・ジャズの王者ジミー・スミスの確立したソウル・ジャズのオルガン・トリオの基本変成だった(いずれジミー・スミスの紹介も避けては通れないと思うとクラクラする)。

それにしてもドナルドソンに続きいきなり無名の新人グリーンとベイビー・フェイスのアルバムを制作してしまうブルーノートの発掘眼というか、大胆さには感心する。しかもどれも甲乙つけがたい快作となった。ジャケット通りの粋でかっこいい音が本当に出てくるのだ。次回以降詳しく解説する。