人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3b)セロニアス・モンク(p)

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Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
ジャズマンからはモンクのデビューは注目され、次々とオリジナル曲は取り上げられたが、レコードの売り上げは悪かった。後輩のバド・パウエルレニー・トリスターノが出世していく一方で、ブルーノートの契約も失い、モンクは作曲はいいがピアノは下手というのが定評になってしまった。
その上モンクは不祥事に巻き込まれてニューヨークの音楽家組合からクラブ出演許可を5年間抹消される。ライヴ活動ができないのは致命的で、57年の復帰まではモンクは数少ない録音とお母さん、夫人のパートで細々と暮すことになる。

モンクは知名度だけはあったので、プレスティッジ・レーベルとの契約はあっさり決った。だが悪名高い同社は3年間でアルバム3枚、サイドマン起用も1回しかさせない。しかもギャラはすべて契約金で相殺される名目だった。

ところがプレスティッジからの三部作、
Thelonious Monk Trio(画像1)52.10.15,11.21/54.9.22
Monk(画像2)53.11.13/54.10.25
Thelonious Monk-Sonny Rollins(画像3)53.11.13/54.10.25
-は悪評も悪条件も感じさせない傑作になった。「トリオ」冒頭の怪作'Little Rootie Tootie'の過激な不協和音はトリスターノにもバドにもない発想で、バドのドラマーにはマックス・ローチが最適のパートナーだったようにモンクの音楽にはアート・ブレイキーが適任だった。三部作の中では「トリオ」がもっとも過激な演奏が聴ける。

「モンク」は2組のクインテットで53年分も54年分もいいが、ソニー・ロリンズ(テナーサックス)参加の53年分よりも54年の方が不思議なアンサンブルを楽しめる。ブルーノート時代はまだメンバーがモンクの音楽性を理解していなかった。'Think Of One'が白眉だろう。

「モンク-ロリンズ」はピアノ・トリオとロリンズのワンホーン・カルテットが半々。快作'Nutty'をはじめオリジナル中心のトリオがいいのはもちろんだが、ロリンズ入りではのびのびとしたスタンダードが聴ける。怪曲'Friday The 13th'も必聴。