人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3c)セロニアス・モンク(p)

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Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
モンクはアメリカで一般的な人気を獲得する前にフランスの音楽祭に招聘された。その時現地のレーベルに録音されたのが、
Solo On Vogue(画像1)54.6.7
-で、生涯に5枚あるモンクのソロ・ピアノ作品の最初になる。全9曲で31分と短いが、内容は濃い。スタンダードの'Smoke Get In Your Eyes'以外はオリジナルの代表曲の再演。''Round Midnight','Eronel','Reflections','We See','Well You Needn't','Hackensack','Evidence','Off Minor'が全曲になるが、近年の曲は避けてブルーノート時代の比較的キャッチーな曲を選んでいるのがわかる。モンクとしてはかなりあっさりした演奏だが、そういう企画として成功している。

プレスティッジの契約満了にモンクに入った仕事は、後に「マイルスのクリスマス・セッション」と呼ばれるようになるオールスター録音だった。1時間分の録音がLPでは2枚に分けられている。
Miles Davis:Bags Groove(画像2)54.12.24
Miles Davis:And The Modern Jazz Giants(画像3)54.12.24
-がそれで、前者には'Bags Groove'テイク1(11分)とテイク2(9分)。LPのB面は別メンバーの5曲。これも名演。
クリスマス録音はマイルス・デイヴィス(トランペット)のワンホーンに、MJQのミルト・ジャクソン(ヴィブラフォン)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラムス)という豪華メンバーだった。マイルスとミルトは絶好調で、モンクのような個性の強いピアニストが呼ばれた理由は判然としない。
後者のアルバムが問題なのだ。マイルス四部作からの残り曲1曲を除くと'The Man I Love'テイク2,'Swing Spring','Bemsha Swing','The Man I Love'テイク1が収録されているが、テイク2ではモンクがソロの途中で演奏を止めてしまう。マイルスが引き継ぎ、ピアノ・ソロが戻って曲は完奏する。普通これはないだろう。それもあるのがモンクであり、マイルスなのだ。