人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補8a)セシル・テイラー(p)

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Cecil Taylor(1929-,piano)。
テイラーはボストンの中流階級出身で、大卒ジャズマンの走りでもある。在学中に当時流行のブルーベックからジャズに入り、すぐにボストンのジャズ界に接してもっと鋭いバドやトリスターノ、モンクに本質的な影響を受ける。すでにボストンではテイラーより年下のリチャード・ツワージクが新人ピアニストとしていち早くバドやモンクの影響を消化しており、テイラーもツワージクの存在に触発される。55年のツワージクの死に入れ代わるように、テイラーは、
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でデビューする。これはのちにボブ・ディランやS&G,アニマルズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやザッパ&マザースを手がけるボブ・ウィルソンの自主レーベル、トランジションから発売された。モンクやミンガス、トリスターノですら前衛と呼ばれた時期にデビュー作からテイラーはフリー・ジャズで打って出た。オーネット・コールマンのデビュー作より二年早い。

テイラーは他人のバンドには一切参加せず、メンバーのアルバイトも禁止した。音楽性からもレコード売上げやライヴ収益では苦しかっただろう。アルバム第2作は、
At Newport '57(画像2)57.7.6
-で、ニューポート・ジャズ祭のライヴ。LPの片面はドナルド・バード&ジジ・グライス・ジャズ・ラボラトリーで、テイラーの面はスティーヴ・レイシー(ソプラノサックス)をフィーチャー(前作では部分参加)したカルテットで3曲25分半の充実した演奏。アルバムが大手ヴァーヴから出たのはボブ・ウィルソンの口利きで、50年代のテイラーはウィルソンがマネージメントを勤めたようだ。

テイラーには高名なジャズ批評家ナット・ヘンホフという後援者ができ、ヘンホフの口利きで第3作はロサンゼルスのコンテンポラリー社から発売される(録音はニューヨークのヘンホフの自宅スタジオ)。その、
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-は夭逝したアール・グリフィスのヴィブラフォンをフィーチャーしたカルテットで、全曲オリジナルだが実はスタンダードのコード進行を借りたものもある。'Excursion On A Wobbly Rail'は'Sentimental Journey'だろう(タイトルももじっている)。