生活保護受給者だってたまにはポテトチップスくらい食べてもいいではないか。最後にポテチを食べたのは四、五年前だったと思う。チョコレートは今年のヴァレンタインにプレゼントをいただき、これは六年ぶりだった。世の中にこんな美味しい菓子があると驚愕して、いけない、これは特別なんだ、自分ではチョコを買って食べてはいけない、と心に誓った。チョコを買うお金があるのなら納豆や豆腐やサバの缶詰を買わねばならない。
-しかし特売ポテチ一袋50円の誘惑には負けてしまった。カロリーも蛋白質も炭水化物もカップラーメン一杯に匹敵するのだから、非常食とも言える。それを言えばチョコだって同じだがチョコといいポテチといい習慣性が強そうでやばい。1日300円の食生活の人間にはなおさらやばい。
たぶんこの先、相変わらずポテチともチョコとも無縁な生活が続くので写真に残しておいた。チョコの空き箱はあまりに嬉しくて今でもとってあるのだ。
ポテチを買ったドラッグストアは女性用トイレと汎用トイレ(男女、幼児、障害者兼用)しかなかった。今はこういうものなんだな、と感心したのでこれも携帯で撮しておいた。ぼくの長女が幼児だった頃は男親が外でトイレを使わせるのは大変だったのだ。
実は今日は夜更かしと睡眠薬のせいで受診を休んでしまった。処方だけもらいに行き、一応先生にはあいさつしてきた。先週蔵書の整理をしてアベさんにほめられたので、CDの整理をしたら腰を痛めて寝るのも遅くなったのだ。なにしろ中腰で2000枚のCDを並べ直したから腰痛にもなる。睡眠薬も効きすぎた。
-昔つきあった女の子たちからの手紙がごっそり出てきたのには、つらい気持になった。古い日付では1984年、新しいものは2011年になる。これだけ愛され愛してきて、残ったのは失望だけだった。茜音と文音だけだ-今は法的にはぼくの娘ではなく、別れた妻の旧姓になった娘たち。もう失望を重ねないためには、この先会うこともない娘たち-それがこの30年間のすべてだったのだろうか。
薬局のヨシムラさんは、今日は腱鞘炎のリスト・バンドをしていなかった。
「治ったんですか?」と手首を指差すジェスチャーして訊ねると、
「今日はしてこなかったんです」という返事だった。ヨシムラさんの手首は少女みたいに細かった。改めて美人だなと思ったが、ただそれだけのことだ。