人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(49d)アート・ファーマー(tp,fh)

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Art Farmer(trumpet,cornet,fluegelhorn,1928-1999)。
ジム・ホールを迎えたカルテットの第1作「インターアクション」は、もっとも権威あるダウンビート誌で五つ星の評価に輝く。そこで早速企画されたのが、
''Live'' At Half Note(画像)63.1.5-7
-で、22曲が録音されたという記録があるが、このアルバムには5曲、完全版と名銘った発掘CDでも10曲しかない。ベスト演奏はオリジナル盤収録の5曲だとしても、可能ならぜひ全曲を聴いてみたいものだ。
しかしこの名門ジャズ・クラブでの選りすぐりのスタンダードばかりの名盤で、アンコールとも言える最終曲がリーダー抜きのギター・トリオとは一体何を意図したものか。アルバムの途中ならわかる。だが最終曲でファーマーが抜けるのでは、そもそも誰のバンドかわからない。

次作、
To Sweden With Love(「スウェーデンに愛をこめて」画像2)64.4.28&30
-はヨーロッパ・ツアー中スウェーデンで録音されたスウェーデン民謡・歌曲集で、それまでもスウェーデン民謡ならスタン・ゲッツ(夫人がスウェーデン出身)のレパートリーで、マイルスのヴァージョンでスタンダードに定着した『懐かしのストックホルム』があった。
ファーマーのアルバムにはよく知られたスタンダードは含まれていないが、バンド全体の繊細なアレンジで独創的で緻密な作品になっている。ベースのスティーヴ・スワロウ、ドラムスのピート・ラロカの貢献も大きく、ジム・ホール三部作はまたもやめでたく名盤で終った。

ホールの抜けた席にはピアノのスティーヴ・キューンが入り、スワロウとラロカは留任した。もともとこの三人は仲間で、感覚が決定的に新しい。
Sing Me Softly Of The Blues(「ブルースをそっと歌って」画像3)65.3.12,16&30
-は謎めいた雰囲気のアルバムで、キューンと親交があったカーラ・ブレイの2曲、スワロウ編曲の2曲とラロカ作曲の2曲という具合にメンバーたちに多くを任せている。だが、ファーマー自身にはブレがなく、親しみやすく聴ける。同時期のマイルスの「E.S.P.」と比較したくなる。