人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

60年代ロック相関図(12)ザ・バーズ1

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ぼくは独立してライターになる前、二年ほど編集者をしていたが、某音楽誌ではアルバイトの求人はまず電話で「クリームのメンバーは?」(画像1)というのが試験問題だと聞いて内輪受けしていたものだ。確かにトリオ、そのうち一人は現役の大スターというのは適切かもしれない。それにメンバー全員がトップ・プレイヤーでもある。これがジミ&エクスペリエンスでは意地が悪いし、グランド・ファンクじゃあんまりで、ブルー・チアー(画像2)では正解率ゼロだろう。

ビートルズストーンズのメンバーはともかく、ビーチ・ボーイズやディラン&ザ・バンドも即答は無理かもしれない。それでもザ・バーズよりはマシだろう。バーズは65年から71年に12枚のオリジナル・アルバムがあるが、同一メンバーによるアルバムは最後の3枚しかない。ゲスト参加ではなく正式なメンバーも10名に上るから、ストーンズのようにギタリストの一方だけの交替だとか、ビーチ・ボーイズのようにデビュー当時代役1名、途中から増員1名、どころの話ではないのだ。

ザ・バーズは正味7年の活動で一人を除いてことごとくメンバー異動がある。まるで70年代のキング・クリムゾンみたいだが、クリムゾンの場合はデビュー作後のツアー終了後に一旦解散してしまい、ギタリスト一人が男の意地でバンドを継続させた(画像3)。ちなみにこの人は町ひとつ丸ごと実家の地所、という富裕階級で、イギリスならではだろう。

バーズはこれまでに挙げたどのバンドとも成り立ちが異なる。メンバーはディランと同様、ニューヨークのフォーク・シーンで各自が別々に活動し、特にロジャー・マッギンはジュディ・コリンズのアルバムへの参加でギタリストとしての名を上げていた。個々のメンバーも、マイナー・レーベルからシングルを出していた。
「ソロでやっていても駄目だ。バンドを組もう」というきっかけはビートルズの映画「ビートルズがやって来る・ヤァヤァヤァ」で、ドラムスなど叩いたことのないマイク・クラークがドラマーに、マンドリン奏者だったクリス・ヒルマンがベーシストになった。マッギンとジーン・クラークは元々ヴォーカル・デュオを組んでいて、ロサンゼルス巡業中にギターもヴォーカルもいけるデイヴィッド・クロスビーが加入しジーンはヴォーカル専任になる。この5人がバーズの創設メンバーになった。