人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(50c)ルー・ドナルドソン(as)

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Lou Donaldson(1926-,alto sax)。
ルーさんほどの御大に無礼を承知で言うが、「バードランドの夜」は御大のキャリアの中では唯一の例外なのではないか、当時急激に名声の凋落にあったチャーリー・パーカーを蹴落とさんとばかりに実力以上の演奏になってしまった奇蹟の一夜だったのではないか、という気がする。よく聴くと余裕すらあるブラウンに較べてルーさんの演奏には勢い任せの乱れが散見されるのだ。パーカー生前だったからこそ対抗心むき出しの演奏をやってのけた、と感じる。
フル・アルバム第1作(前回掲載)が55年1月。パーカーの急逝が同年3月で、ルーさんのレコーディング復帰は57年になる。まる二年のブランクもまた、パーカー死去の余波によるとしか思えない。

ルーさんのレコーディング復帰は、当時売り出し中のジミー・スミス(オルガン)のジャム・セッション作品で、
Jimmy Smith:A Date Of Jimmy Smith Vol.1,Vol.2(画像1)57.2.11,12
-と、
Jimmy Smith:Jimmy Smith At The Organ Vol.1,Vol.2(画像2)57.2.12
-になる。2日で4枚の録音とはブルーノート社らしからぬ急造ぶりだが、それだけスミスの実力が傑出して安定していた証でもある。「ア・デイト~」は11日のセッション中心でドナルド・バード(トランペット)とハンク・モブレー(テナー)が加わる。「アット・ジ・オルガン」は12日セッションのみで、ルーさん参加曲はアルトのワンホーン。

2年半ぶりの第2作は、
Swing And Soul(画像3)57.6.9
-で、ここでバンドのメンバーが固定した点で重要な作品。盲目のピアニスト、ハーマン・フォスターに、ペック・モリソン(ベース)とデイヴ・ベイリー(ドラムス)、そしてコンガのレイ・バレットという、翌年のヒット作品「ブルース・ウォーク」と同一メンバーで、コンガ入りワンホーン・クインテットはルーさんの独創だった。スタンダードとオリジナル半々、ラテン風味とブルースの融合等、はっきりパーカーとは違うルーさんの音楽が確立した。'There Will Never Be Another You'のバラード解釈など他では聴けない。