昨夜の記事二本は三時間で書いた。晩は久しぶりに、ジャック・ドワイヨンの映画をDVDで見直した。大体この人の映画はうじうじした登場人物がうじうじしたまま終る、というぼく好みの作風で、処女長編の「頭の中に指」や、監督自ら主演の(制作費不足だったらしい)「泣きしずむ女」など思わず居ずまいを正してしまうほどの本質的な鋭さがあった。この人は映画監督には珍しく映画マニア上がりではないそうで、映画など知らない人が直観で作り上げたような瑞々しさと脆さがあるのだ。それが大衆的支持を得たのが名作・「ポネット」ならば、昨晩ぼくが観た作品は批評家にも観客にも憎悪された傑作だった。
おかげですがすがしい朝を迎え、午前10時予約のメンタル・クリニックに出かける。今日は付き添いも多くて混んでいた。他の医院では待合室で、患者同士が談笑している様子も見かけるが、さすがにメンタル・クリニックではそれはない。ここでは誰もが自分のことで精一杯なのだから。
かく言うぼくも診察でなにを話すか考えていた。ぼくの主治医は患者によってアプローチを変えているのは確かで、時にはずいぶんひどいことも言う。尊厳を傷つけるような発言すら、ある。ただしそれは主治医なりの考えで、ぼくに対してはそういう態度をとる必要もある、ということだろう-どの患者にもそうしているとは思えない。
診察では、主治医から話を切り出すことはほとんどない。ぼくから話し出すのを待っている。
「この一週間は落ちついて過ごしました。特にお話することもないほどです」
「それは良かった。血液検査の結果も…」主治医は薬物の血中濃度の検査結果を示して、「標準値ど真中だよ。これを維持しよう」
「そうですか。完全に三食自炊にしてからは、食生活も改善されていると思います。関係あるでしょうか」
「関係あると思うよ。その分代謝も良くなったんだろうね」
薬局の分包待ちに買い物に出た。百円均一ショップのハロウィン・コーナーには驚いた(画像1)。薬局で薬を受け取り(画像2)、昼食の後で二年ぶりのアイスを食べた(画像3)。
午後二時半の歯科までに、ジャズ記事の最終回を書いた。毎日二本の更新を続けて満二年、ジャズ記事は昨年11月1日から毎日続けて10か月を越えた。これだけ書けば十分だろう。チャーリー・パーカーで始めて、アルバート・アイラーで終る。それでいい。