人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

続「巴マミの平凡な日常」(ネタバレ注意)

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 昨日に続いて「巴マミの平凡な日常」あらたまい(芳文社・2013年10月27日刊)の感想文を披露したいと思います。昨夜の記事を掲載した後さらに読み返して、いっそうこの作品をじっくり楽しんだからです。

 その前にウンチクを一つ。この手の「引退したフィクション作品のヒーロー(ヒロイン)の後日談」または「著名なフィクション作品のヒーローを使った二次創作」の発生は「源氏物語」がそうでして、あれは紫式部が書いた原型が筆写稿が作られるたび次々と細部や続編が書き足され、膨大な大作に発展していったものです。後半部分に当る光源氏逝去後の息子たちの物語は、紫式部の原型には一切含まれないと推定されています。

 また、「ドン・キホーテ」は正編が当時の大ベストセラーになるやセルヴァンテス以外の作者によるドン・キホーテ作品が乱発され、セルヴァンテスはそれらを一掃するために「ドン・キホーテ」正編に対する作者自身によるメタフィクション作品「ドン・キホーテ」続編を書きました。

 江戸時代後期に大ヒット作となった柳亭種彦偐紫田舎源氏」は時代を室町時代に変え、主人公の女性遍歴を隠密活動の隠れ蓑として描いた人気シリーズでしたが、武家による著作だったため江戸城の大奥事情をモデルにしたものとされ、作者は自害処罰されました。

 「巴マミ~」は帯を外すとジャージの胸元のゼッケン「見滝原中B-3」(笑)と、さらにカヴァーを外すと表紙と裏表紙で2ページまんがの書き下ろしがあるんですね。昨晩寝る前に読み返そうと帯とカヴァーを外して、初めて気づきました。昨夜の記事に画力がプロの水準ではない等々難点も書きましたが(それはパースの狂いやカットの不明瞭なトリミングで明らかです)悪文の文筆家でも読ませる作家がいるように、これだけ画力に難があっても面白く読ませる語り口は才気ある立派なものです。

 それに初読の時は読過しましたが、よく見れば第一話から原版は巻頭またはセンター・カラー原稿ではありませんか(コミックスでは白黒製版ですが。大友克洋以降の画に凝る漫画家は、コミックス化を考えてモノクロ原稿と着色原稿を別制作しますが、さすがにそれは一部の大家だけです)。巻頭カラーまたはセンター・カラーの常連になるくらいの、「まんがタイムきらら☆マギカ」誌の看板作品なのがこの扱いでもわかります。