人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「叛逆の物語」コミカライズ完結&ディスク化決定(2)

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前回から間が空いたので、前半は前回の再録です。

昨年10月26日から約二か月間ロードショー公開されたアニメーション作品「劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」は11月から月一冊のペースでコミカライズ版(画像1~3)が刊行されてきたが、この度第三巻をもって完結した。

「叛逆」は、とにかく破格の作品だった。正編「まどか」が見事に完結させた物語世界をあっさり粉砕したばかりかそれに替るなにかを与えず観客を突き放した内容で、正編同様説明的な会話やシーンはほとんどない。正編も最低二度は観ないと登場人物の言動の真意や映像表現の意味が「わからない」作品だったが「叛逆」では正編視聴者に「わかる」と思わせておいてそれが次々と覆えされる。部分部分の断片的な印象は強いのだが全体では忘れかけた悪夢のようにやりきれない不消化感がわだかまる。これほど評価が難しい作品は滅多にないだろう。作品自体に破綻はなく、正編同様面白さは抜群と認めざるを得ないからだ。

コミカライズ版はアニメーション本編で視聴者には理解困難だった細部をきっちりと解き明かしてくれる。(ここまでが前回の概略)。そしてコミカライズ完結と同時にディスク化の予約受付が開始された(1月13日。4月2日発売・画像4)。

今回メディア作品として特異な扱いといえば、コミカライズ完結とディスク化予約のリンク、さらにディスク化のプロモートとして各種媒体に(具体的にはアニメーション専門誌を筆頭として)完全に設定から結末までの言及が解禁されたことがある。これはコミカライズの形ですでに視聴者は物語の全容を知ることができること、また劇場公開の観客(または未見であっても作品概要を提供された潜在層)はほとんどディスク購入者になるという自信の表れと解される。

劇場公開からわずか正味半年のディスク化、さらに限定版特典はサウンドトラックCDと正編の「始まりの物語」「永遠の物語」計240分(TV版は12話・280分)を再編集した120分版「まどか」という商法だが批判はほとんどない。2012年秋公開「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」は半年後のディスク化(サウンドトラックCDつき)に非難が集中した。この差はやはり作品の質が観客の需要に反映したものによると考えられる。需要そのものにも質的な差は存在する、ということだ。
(続く)