人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ミンガス・プレゼンツ・ミンガス(1960)

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前回は日米で評価差のある名盤を集めてみたが、その最たるものは一枚まるごと紹介したい。一枚はマックス・ローチ「ウィ・インシスト!」60、もう一枚がこれだ。

日本ではミンガスの傑作といえば「直立猿人」56とこれだが、本国では「ミンガス・アー・ウム」59と「黒い聖者と罪ある女」63が屈指の傑作とされる。「ウィ・インシスト!」も認知度が低い。実はこの二枚は対をなす作品で、ジャズ批評家ナット・ヘンホフ主宰の弱小インディ「キャンディド」の制作なのだ。
だからアメリカ以外の国では大手レコード社が発売したが、肝心の本国ではほとんど出回らなかった。その上非常に主張の強い作品でもあった。

このアルバムはミンガスがオーネット・コールマンに刺激されて構想したもの、とカーソンの証言がある。完全なピアノレス作品。A1の変型ブルース、vo入りで後のレゲエの先駆のようなA2。タイトル通りB1は『恋とはなんでしょう』、B2は『君はわがすべて』の改作だが、ビ・バップ的なコード進行の流用ではなく、交流のあったトリスターノと類似したメロディの拡張と無調化の手法でスタンダードを再構築している。B2のブレイク部の「会話」はこのアルバムの白眉だろう。

[Charles Mingus Presents Charles Mingus]
Candid9005/rec.60.10.20
Charles Mingus-b,vo/Ted Curson-tp/Eric Dolphy-as,b-cl/Dannie Richmond-ds,vo

A1.[Folk Forms,No.1]
http://m.youtube.com/watch?v=lP6f_QpIal8

A2.[Original Faubus Fable]
http://m.youtube.com/watch?v=DXuZBywW4gA

B1.[What Love]
http://m.youtube.com/watch?v=q85aGvj4iTg

B2.[All the Things You Could be by Now if Sigmund Freud's Wife was Your Mother]
http://m.youtube.com/watch?v=hJe_ZlFC084