今夜の更新分でアニメ『花物語』の紹介文は完結で、全八回だから四百字詰原稿用紙20枚と、新聞の書評なら一ページに相当する分量です。これは要するに、かなり詳細な紹介に耐えうる作品ということにもなるでしょう。内容の乏しい作品についてそれほど長い文章は書けません。また、『花物語』については評価というよりも作品の見どころの紹介を目的として書きました。これはテレビ放映されたばかりのアニメ作品で、ディスクの発売もレンタルもまだこれからです。
ベストセラー小説の映像化作品の場合、どこまでが一般的な紹介でどこからがネタバレになるかは恣意的な判断にならざるを得ません―この「ネタバレ」というのを人権侵害のごとくやかましく言う風潮は最近の不可解な現象で、例えばアイドルグループのコンサートのセット、演出、曲目などについて触れるのすら「ネタバレ」と怒る人もいて、ならば映画や演劇はキャスティングすらネタバレに抵触するでしょう。大概物事をネタバレと怒る人は、自分の関心の範囲外のネタバレには無関心で、それをエゴイズムと感じてはいないようです。
『花物語』について書いた全八回のうち最初の二回は新聞の新番組紹介欄程度の登場人物紹介と物語設定、序盤のあらすじです。ネタバレ編と名銘った六回分がストーリーの進行に添った見どころの紹介で、全編の最初の三分の一にさしかかるとヒロインと対立する人物が判明し、さらに全編のちょうど折り返し点でその人物の真の正体が明らかになります。後半はヒロインがどうやってその相手と渡り合うか、それがヒロインの担わされた運命とどのように関わっていくかが見どころになるわけです。
あえて『花物語』についてはネタバレという断り書きをつけましたが、実際は真にネタバレと言えるような種明かしはまったくしていないのです。強調したいのはこの作品のホラー要素はスポーツ対決をクライマックスとするための設定であり、それを割らない限りで委細を尽して魅力を語ってきたつもりです。
ただ、今さらながら思いますが、現代アニメの成功作はほとんどが青春を描いたもの(ジブリは反動的現象)で、大人が観てすらやはり青春を描いた作品に面白いものが多いというのはなぜでしょうか。昔は子供や動物や妖怪がアニメの主人公だったのに。ドラえもんやしんちゃんはありますが。