Recorded at Eden Studios and Mixed at Air Studios in U.K, July, 1979
Produced By Jean Jacques Burnel For Change 2000
Manufactured and Released by King Record Co. Ltd. Japan NPc /King Records-Windmill GP-766, November 21, 1979
All titles Composed by Yohsuke Sugahara
(Side one)
A1. ニュー・キッズ・イン・ザ・シティ New Kids In The City - 4:27
A2. プラスティックの夢 Plastic Dreams - 2:22
A3. ラジオ・コントロールド・ライフ Radio Controlled Life - 3:05
A4. ガイアナ Guyana - 3:15
A5. 記憶/エイシャ Asia - 3:34
(Side two)
B1. T.V.マジック T.V.Magic - 3:18
B2. マーケット・リサーチ Market(Ing) Research - 4:02
B3. そのスイッチに触れないで Don't Touch The Switchboard - 2:24
B4. モダン・ビート Modern Beat - 3:46
B5. ラヴ・ソング Love Song - 2:17
B6. 王国 Kingdom - 4:43
[ Lizard ]
Momoyo (Yohsuke Sugahara) - vocals
Katsu - guitar
Koh - synthesizer
Waka - bass
Belle - drums
Jean Jacques Burnel & Rowena Doe - additional back vocals
Cover concept by Lizard
Photography by Yuichi Jibiki
リザードは前身バンドの「紅蜥蜴」の結成からは45年、紅蜥蜴の自主制作シングル発表からは40年にもなろうという日本のロックの最古参バンドのひとつで、ウィキペディアの項目をほぼ全文引用してみると以下のようになる。読みやすいように文章や段落は少々手を加えて、全体を第1期~第5期に再構成した。
第1期●リザードは1970年頃、灰野敬二の即興演奏のライブにて初ステージを踏んだモモヨ、カツを中心に「幻想鬼」「通底器」「エレクトリック・モス」などのバンド活動を経て1972年に結成された「紅蜥蜴」を前身バンドとし、シングルを2枚リリースした後、以後の「LIZARD」に改名する。音楽性は、所謂東京ロッカーズムーヴメントを牽引したパンク・ロックでありながら、キーボードやシンセサイザー、ヴォコーダー等の電子機器を駆使したテクノポップ寄りのニューウェイヴサウンドであった。また当時のLIZARDには「リザードアーミー」と呼ばれる親衛隊が存在した。
第2期●1978年、貸スタジオ「S-KENスタジオ」を中心として活躍していたバンドであるフリクション、ミラーズ、ミスター・カイト、S-KENとともに「東京ロッカーズ」と称し、シリーズ・ライブを開始。
1979年、オムニバス・アルバム『東京ROCKERS』に2曲参加。そして11月21日、キングレコードより1st.アルバム『LIZARD』、シングル『T.V.MAGIC』をリリースしメジャーデビュー。プロデューサーはストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルが担当した。
第3期●1980年、モモヨのプロデュースによる2nd.アルバム『BABYLON ROCKERS』、シングル『浅草六区』をリリース。そして、インディーズのジャンク・コネクションより「MOMOYO&LIZARD」名義でシングル『SA・KA・NA』をリリース。また「紅蜥蜴」時代の音源がインディーズのシティ・ロッカーよりアルバム『けしの華』としてリリースされた。しかしその後、メンバーの交通事故や相次ぐ脱退、フロントマンであるモモヨが麻薬取締法違反容疑で逮捕される等、様々な理由が重なり、以後、断続的な活動となる。1981年、その混乱の中、完成した3rd.アルバム『ジムノペディア』をトリオレコードよりリリース。
第4期●1983年から1984年にかけて、モモヨは元P-MODELの秋山勝彦との「夢幻会社」、そして「MOMOYO&PSYKICKS」「VISIONARY FRONT」などで活動。1985年から翌年にかけて、インディーズのテレグラフ・レコードより、モモヨのソロ・シングル3枚『聖家族』『虚空遍歴』『空花』を立て続けにリリース。1986年、テレグラフより「LIZARD」名義でミニアルバム『変易の書』をリリース。1987年、同じくテレグラフよりアルバム『岩石庭園』をリリースした後、活動を休止。
第5期●2009年、長い活動停止の後、オリジナルメンバーであるモモヨ、ワカ、コーに元ARBのキースをドラムスに迎え復活。未発表音源を含む1973~2008年の全トラックを網羅したCD 10枚組に加え、未公開ライブ映像を収録したDVDがセットになったコンプリートBOX『Book of Changes Complete Works of Lizard』をリリース。そして、1st.アルバム発売と同じ日の11月21日に、22年ぶりのスタジオ・アルバム『リザードIV』をリリースした。
2010年4月5日には、新宿LOFTにおけるワンマンライヴ「LIZARD SHINJUKU MEETING PREMIUM LIZARD VS JJ」で30年ぶりにストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルと共演を果たした。
●アルバム・ディスコグラフィー
『けしの華』(1980年・紅蜥蜴/1977年~1978年録音)
『LIZARD』(1979)
『BABYLON ROCKERS』(1980)
『ジムノペディア』(1981)
『LIZARD III』(1982, ミニ・アルバム)
『彼岸の王国』(1985, 録音1978東京・1979ロンドン)
『変易の書』(1986, ミニ・アルバム)
『岩石庭園』(1987)
『LIVE AT S-KEN STUDIO '78 and more!』(2002, 録音1978)
『東京ROCKERS '79 LIVE』(2005, 録音1979年)
『リザードIV』(2009)
『Book of Changes Complete Works of Lizard』(2009, 10CD+1DVD+Booklet)
(Original Windmill/King "Lizard" LP Side 1 & Side 2 Label)
ただし『ジムノペディア』系列の作風は派手さのない渋いもので、『LIZARD』『バビロン・ロッカーズ』の頃のキッチュなキャッチーさ、商業的成功への意欲的な挑戦は断念してアーティスティックな達成に向かったものとも言える。東京ロッカーズでは商業的成功に挑んだ音楽性のバンドはリザードが唯一で、アーティスティックな評価はむしろ徹底して反商業的なフリクションが高かったという皮肉があった。モモヨにとっては内省的でサイケデリックな音楽に回帰したと言える『ジムノペディア』も『岩石庭園』は飽きのこない良いアルバムだが、『岩石庭園』の初回プレスにはボーナス・トラックにデビュー・アルバムから2曲のリミックス・ヴァージョンが追加されていたように、デビュー作とセカンドには満載されていたようなライヴで観客を乗せるタイプの曲が見当たらない。作風が瞑想的になっており、自宅でアルバムをじっくり聴くにはいいがライヴには向かない。10枚組のCD全集からすぐに発表された22年ぶりの新作『リザードIV』では初期の躍動感と円熟期の味わいを調和させる試みが見られ、リザードの長い経歴を知るリスナーほど感慨深いアルバムになっている。
(Reissued "Lizard" CD Front Cover & Replica Original Lyric Sheet)
P-Modelとリザードの初期3枚には共通点があって、デビュー作は安易なほどわかりやすいディストピア化した近未来SF的な社会批判を歌詞の内容にしていた。音楽も意図的にキャッチーでヒット性のあるロックを狙っていたが、新しさはあっても底は浅いもので、『LIZARD』はP-Modelのデビュー作以上に歌詞の陳腐さや通俗性からたちまち風化してしまったといえる。ただし安っぽいものにも安っぽさからしか生まれない楽しさがあり、両者のセカンド・アルバムはデビュー作の軽薄さの延長で開き直った開放感がある。だが売り上げ不振、累積赤字、先行き不安からバンドは解体に向かい、非常に不安定な状態から生み出されたサード・アルバムはサイケデリックでプログレッシヴ的な内省性が高まり歌詞はストレートなメッセージ性が払底され、地味で謎めいたムードのアルバムになった。P-MODELは80年代いっぱいで一旦解散するまでにサード・アルバムの延長上にさらに5枚のアルバムを残し、それらは初期2枚よりも格段に優れたものになったが、リザードはP-Modelほど作風転換後に順調にアルバムを制作できなかった。P-Modelのリーダー平沢進は社会批判的なパンクから変化した理由を「批判はしょせん天秤の上にいることで、もう天秤から下りたかった」と明言している。リザードはそこまで明晰でなく、初期の作風と中期の作風は単に音楽的振幅(または深化)としている節があり、P-Modelほど質的転換を掘り下げる方向へは進まなかった。『LIZARD』は力作だが、どこかロック好きのアマチュア趣味の産物で、名作『ジムノペディア』も必ずしも初期からの批判的発展とは思えない観は否めない。