人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

P-モデル P-MODEL - Potpourri (ポプリ) (Warner Pioneer, 1981)

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P-モデル P-MODEL - Potpourri (ポプリ) (Warner Pioneer, 1981) Full Album : https://youtu.be/Dt8IGkVuQzo
Recorded at Sunrise Studio, WARNER-PIONEER Studio
Released by Warner Pioneer Records K-12005W, March 25, 1981
Produced and Arranged by P-MODEL
(Side 1)
A1. ジャングルベッド I junglebed I (作曲:平沢進) - 2:00
A2. 青十字 blue cross (作詞・作曲:平沢進) - 2:35
A3. ジャングルベッド II junglebed II (作詞・作曲:平沢進) - 3:48
A4. ブループリント blue print (作詞・作曲:田中靖美) - 2:16
A5. aqualife (作詞:田中靖美平沢進/作曲:田中靖美) - 2:52
A6. different≠another (作詞・作曲:平沢進) - 2:21
A7. anothersmell (作曲:田中靖美) - 1:50
(Side 2)
B1. フィルム film (作詞・作曲:平沢進) - 2:53
B2. モノクローム・スクリーン monochrome screen (作詞・作曲:田中靖美) - 2:53
B3. marvel (作詞・作曲:平沢進) - 2:56
B4. ナチュラル natural (作詞・作曲:田中靖美) - 2:55
B5. いまわし電話 disgusting telephone (作詞・作曲:平沢進) - 3:13
B6. potpourri (ポプリ) (作詞・作曲:平沢進) - 3:07
[ P-MODEL ]
平沢進 - ボーカル、ギター、ベース
田中靖美 - キーボード、バックグラウンド・ボーカル
田井中貞利 - ドラムス、バックグラウンド・ボーカル

 オリジナル・メンバー中最年少のベーシスト秋山勝彦が脱退し(再結成時復帰)、ライヴでは秋山似の高校生のベーシスト菊池達也をサポート・メンバーとしながら(次作『Perspective』では正式メンバーに昇格)アイドル的人気の高かった秋山の脱退で観客動員が激減、さらに脱テクノ・ポップとオルタナティヴ・ロック化でもっともヒリヒリしたライヴ活動を行っていた間に平沢・田中・田井中の3人で制作されたサード・アルバムで、やはりオリジナル・ラインナップの解体を経たリザードのサード・アルバム『Gymnopedia ジムノペディア』'81.10とともに日本のポスト・パンクの傑作となった不人気アルバム。実際にまるで宣伝されず音楽誌での扱いも小さく、デビュー作ではレコード会社の大プッシュを受けていたリザードP-MODELも以降アルバム毎にレーベルを転々とすることになります。次作『Perspective』の頃には新しい方向性を支持するファンが定着していたものの、『Potpourri (ポプリ)』発売後には静まり返った客席から時折怒号や罵声が浴びせられる、平沢が客席に鳩のエサをまくなど立ち見200人規模のライヴ・ハウスは陰険な雰囲気が立ち込めていました。
 P-MODELの傑作は本作、次作『Perspective』'82、田中が抜けキーボードが三浦俊一に代わった(楽曲とアレンジは田中在籍時のライヴで披露されていた)『Another Game』'84('83発売予定が歌詞問題で発売延期)の3作で、'84年いっぱいでオリジナル・ドラマーの田井中が脱退してからは平沢を中心としたアルバム毎のプロジェクトになります。本作でも平沢8曲、田中5曲と提供曲数では平沢がしのぐものの、SE的なA7を除く田中のA4, A5, B2, B4は平沢楽曲と同等以上にP-MODELならではの出来で、平沢・田中・田井中の揃っていた時代こそがP-MODELという感じが強くあります。次作『Perspective』はさらに実験的になった結果キーボードは最小限の使用に絞り込まれるので、初期P-MODELの名残りも残るのは本作が最後になります。なお本作からはA3がB面にB5を組ませてシングル・カットされました。本作がラジオ・オンエアされたのはリザードの『Gymnopedia ジムノペディア』同様NHK-FMでただ1回だけなのではないでしょうか。