Recorded Live at Concertgebouw, Amsterdam, Netherlands, November 19, 1971
Released by Captain Trip Records JP, CTCD351, August 2001 from 4CD Box Set "Final V.U. 1971-1973"
(Tracklist)
1. I'm Waiting For The Man - 4:54
2. Spare Change (Alexander) - 3:32
3. Some Kinda Love - 6:51
4. White Light / White Heat - 4:33
5. Hold On (Alexander) - 4:58
6. What Goes On - 4:02
7. Cool It Down - 4:07
8. Back On The Farm (Alexander) - 7:04
9. Oh Sweet Nuthin' - 8:21
10. Sister Ray (Reed, Cale, Morrison, Tucker/Alexander) - 14:45
11. After Hours - 3:20
12. Dopey Joe (Yule) - 3:23
13. Rock And Roll - 4:43
[ V.U. aka The Velvet Underground ]
Doug Yule - vocals, guitar
Willie Alexander - keyboards, vocals
Walter Powers - bass guitar, backing vocals
Maureen Tucker - drums
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(Original Captain Trip 4CD "Final V.U. 1971-1973" Disc 2 Liner Cover & CD Label)
前回ご紹介した1971年11月5日のロンドンのアフリカ&東洋文化学校でのコンサートとは同じツアーの一環でメンバーも同一ですし、2週間しか経っていませんからセットリストもアレンジも大差ないものですが、2年前にはブレイク直前のピンク・フロイド、2年後には絶頂期のキング・クリムゾンが演奏するような会場です。当時のオランダのトップ・バンドといえばアース&ファイヤー、ゴールデン・イヤリング、フォーカスなどアート・ロック(プログレッシヴ・ロック)系のバンドが人気を集めており、ヴェルヴェットもニューヨークのアート・ロック系バンドとしてブッキングされたのでしょう。ロンドンでのライヴと演奏フォーマットではそれほど違いはないとはいえ、コンセルトヘボウでのライヴは国際的アクトを意識した緊張感の高いものになっているように聴こえます。ユールのヴォーカルは相変わらずヘナヘナですが、ギターはよりアグレッシヴなプレイになっており、ここでもやはり唯一のバンドのデビュー時からのオリジナル・メンバーで女性ドラマーのモーリン・タッカーの演奏が光ります。ヴェルヴェットはルー・リードのガチャガチャしたギターとタッカーのズンドコしたドラムスが聴こえればヴェルヴェットらしいサウンドになっていたので、このライヴでも本来のヴェルヴェットらしさはモーリン・タッカーのドラムスのおかげでそこそこ雰囲気を保っており、アレクサンダーとユールのオリジナル曲もそれほど違和感がありません。このツアー中に全曲ダグ・ユール作詞作曲によるロンドン録音のスタジオ・アルバム『Squeeze』1972.3(ポリドールのイギリス支社原盤、イギリス、ヨーロッパ、日本でのみ発売)が制作されるのですが、マネジメントの意向によりユール以外のメンバーは録音に参加せずイギリスのセッション・ミュージシャンが演奏に起用されユール以外のメンバーはアメリカに帰国させられて、『Squeeze』の1972年のイギリスでのプロモーション・ツアーはユール+イギリス人メンバーによって行われなます。この時点でヴェルヴェット・アンダーグラウンドは事実上自然消滅したと言っていいでしょう。ユールの才能と個性はリーダー・バンドを率いるには弱く、1972年のライヴはイギリス人メンバーのタイトな演奏でまるでヴェルヴェット・アンダーグラウンドらしくないのが面白く、1973年のダグ・ユール・バンドがヴェルヴェット名義で残したライヴ音源は事実上ユールのソロ・アルバムだった『Squeeze』からのレパートリー中心のガレージ・ロック風サウンドになっています。1971年のヨーロッパ・ツアー、1972年のイギリス・ツアーとも誰もライヴ音源の存在など予期していなかったもので、1973年ライヴなどはもはやヴェルヴェットを名乗る必然性すらないものですが、聴いていくとルー・リードが着々とソロ・キャリアを築いていった時期に名義上ヴェルヴェットを続けていたダグ・ユールがいかにマネジメントの強要の下に悪戦苦闘を重ねていたかがしみじみと染みてきて、こういう末路が実際のライヴ音源で明らかになるのはそう多くなく、ドキュメントとしての価値だけでも一聴して損はないでしょう。こうして聴けるだけでも珍重すべきライヴ音源なのは間違いありませせんし、ユールだってそれなりのミュージシャンなのです。