Recorded live in Ultrasonic Recording Studio, WLIR FM Hempstead, NY, December 26, 1972 as "Saturday Night in Concert"
Released by Burning Airlines/NMC PILOT83, June 26, 2001
All tracks composed by Lou Reed
(Tracklist)
1. White Light/White Heat - 4:04
2. Vicious - 3:06
3. I'm Waiting For The Man - 7:14
4. Walk It Talk It - 4:04
5. Sweet Jane - 4:38
6. Heroin - 8:34
7. Satellite of Love - 3:28
8. Walk on the Wild Side - 5:55
6. I'm So Free - 3:52
10. Berlin - 6:00
11. Rock & Roll - 5:13
[ Personnel ]
Lou Reed - lead vocals and rhythm guitar
with The Tots
Vinny Laporta - guitar
Eddie Reynolds - guitar, backing vocals
Bobby Resigno - bass guitar
Scottie Clark - drums
*
(Original Burning Airlines "American Poet / Live 1972" CD Liner Cover)
この音源は、1992年のルー・リードのボックス・セット『Between Thought and Expression: The Lou Reed Anthology (思考と象徴のはざまで~ルー・リード・アンソロジー)』の解説にも正式にレコード発売を前提に録音されたものと記載され、「素晴らしい未発表ライヴ・アルバム」と賞賛されていますが、同ボックス・セットには収録されませんでした。そのかわり、ラジオ局からの流出テープを元にして海賊盤の定番になり、'90年代までに数十種類の別タイトル・別ジャケットで海賊盤が流通していたものです。2001年に正規にアルバム化されるに当たって『Transformer』のジャケット写真のフォト・セッションからの未発表フォトがジャケットに使われているのは嬉しく、また5の「Sweet Jane」と6の「Heroin」の間にラジオ番組中での5分間のリードへのインタビューが挿入されました。今回引いたリンクにはその珍しく上機嫌なリードのインタビューは含まれませんが、演奏曲の曲順は正規盤と同じものです。海賊盤では発売元によって曲順がまちまちで、実際の曲順が特定できませんでした(正規盤が正しいとは限りませんが、公式発売されたからにはそれが基準となります)。リードは登り調子の勢いでご機嫌ですし、ボックス・セットのルー・リード・ヒストリーの筆者も(1992年当時)未発表を惜しんでいる幻のライヴ・アルバムがこの時期ザ・トッツというバック・バンドを率いた演奏で、長年海賊盤では名盤とされてきたのですが、実際にライヴ・アルバムが制作されたのが鬼才プロデューサー、ボブ・エズリン(アリス・クーパーの『Killer』'71.11、『School's Out』'72.5、『Billion Dollar Babies』'73.2、KISSの『Destroyer』'76.3、ピーター・ゲイブリエルの『Peter Gabriel I』'77.2、また実質的にピンク・フロイドの『The Wall』'79.11のプロデュースも手がけました)のプロデュースになるソロ・アルバム第3作『Berlin (『ベルリン』)』'73.7のプロモーション・ツアーからで、メンバーは辣腕ギタリスト・コンビのディック・ワグナーとスティーヴ・ハンターを中心としたエズリンご用達のバンド・メンバーたち(アリス・クーパー、KISSのアルバムもこのバンドによる制作でした)をバック・バンドにした『Rock' N Roll Animal (『ロックン・ロール・アニマル』)』'74.2と『Lou Reed Live』'75.3(ともに'73年12月21日のコンサートからの収録)でした。今回ご紹介したザ・トッツと『ロックン・ロール・アニマル』バンドを較べると始めたばかりの学生バンドと熟練したプロの違いがあります。ヴェルヴェットもメンバーは楽器のテクニシャンではありませんでしたが優れたオリジナリティを誇るバンドでした。ザ・トッツの場合はオリジナリティなどまったくなく単に平凡なだけです。当時発売が見送られて30年も経ってからインディー・レーベルに正規発売権が売られたのも無理はなく、ザ・トッツにはリードに似た声質のメンバーがいてコーラスに違和感がないのが唯一の取り柄ですが、そのメンバーがリード・ヴォーカルを取ればリード脱退後のダグ・ユールのヴェルヴェットと大差ない程度でしょう。海賊盤の名盤のままの方がお宝感があったかもしれないような貧弱なライヴ・アルバムですが、今日のようなDTM同期のサウンドばかりしか作られなくなってしまった(またはわざわざアコースティック楽器だけのアンサンブルがもてはやされる)風潮の中では、このしょぼくてへなちょこなロックの感触もたまには良いのではないでしょうか。ヴェルヴェット関係でも何か聴こうかな、でもあまり濃くなく、流して聴けるようなものがいいな、という時にはヴェルヴェット時代の代表曲とリード最初のソロ・アルバム2作からの代表曲が半々の本作など案外重宝かもしれません。