Recorded in End of 1976, Frankfurt and Bochum
Released by Metronome Records Metronome 60.047, February 1977
Produced and Composed by Klaus Schulze, For Film by Lasse Braun.
(Side 1)
A1. Stardancer - 13:18
A2. Blanche - 11:44
(Side 2)
B1. P: T: O: - 27:25
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
Harald Grosskopf - drums
*
(Original Metronome "Body Love" LP Liner Cover & Side 1 Label)
アルバムとしては各段に『ボディ・ラヴVol.2』の完成度とサウンドの達成に軍配が上がり、それも確かなシュルツェの感覚と腕前の冴えを感じますが、同作の作風も本作『絶頂人妻ボディ・ラヴ(サウンドトラック)』が先にあらばこそなのは言うまでもなく、'75年から本格的にライヴ活動を始めたのが前作『ムーンドーン』'76や本作の躍動的なサウンド制作への意欲に現れたと思われます。本作はA2がグロスコフとのデュオではないソロ演奏ですが、冒頭3分の素直なピアノ音色の演奏はこれまでのシュルツェにも、この後にもないものです。'76年にシュルツェのアルバムのイギリス盤発売権はそれまでのヴァージン(『ブラックダンス』)、アリオラ(『ムーンドーン』)からアイランドに移ることになり、シュルツェはヴァージンの日本人現代音楽パーカッショニスト、ツトム・ヤマシタのプロジェクト・バンド「GO」に誘われ国際的ベストセラーになったアルバム『GO』('76年2月録音、4月発売)と「GO」ツアーから6月のパリ公演を収録した『Go Live from Paris』'76、プロジェクトの最終作でニューヨーク録音の『GO Too』'77に参加しました。アイランド所属アーティストからトップクラスのプレイヤーが招かれ、ヴォーカルとキーボードにスティーヴ・ウィンウッド、リード・ギターにチック・コリアのリターン・トゥ・フォエヴァーからアル・ディ・メオラ、ベースにカンの二代目黒人ベーシストのロスコー・ジー、ドラムスにサンタナのマイケル・シュリーヴというメンバーで、必ずしも全作参加ばかりではないメンバーの中でシュルツェはディ・メオラ、シュリーヴとともにプロジェクトの最初から最後まで参加しました。またニューヨーク録音もシュルツェには初めての経験で、アメリカ滞在からシュルツェが吸収してきたものも大きく、次作『蜃気楼(ミラージュ)』にはその反映があり、また'77年からのソロでのライヴはより大きな会場で、スタジオ録音のアルバムよりアグレッシヴでエモーショナルな演奏スタイルに移ったのが'80年リリースの『…ライヴ (...Live...)』や'90年代になってからの公式発掘ライヴ・リリースで知ることができます。『絶頂人妻ボディ・ラブ(サウンドトラック)』は国際的プロジェクト「GO」参加の経験が直接生きたアルバムであり、サウンドトラックという手段でアルバムを多作するには絶好のチャンスだったでしょう。実際『ボディ・ラブ(サウンドトラック)』『ボディ・ラヴVol.2』の2作をシュルツェの代表作に上げる評者も多く、シュルツェ作品ではもっともタイトなサウンドの聴ける好作品でもあります。確か映画もVHSヴィデオ時代にはレンタル発売されており、なかなかの佳作らしく現行版DVDのリリースがないのが惜しまれます。ドイツとイタリアをまたにかけた、ポルノ映画界ではかなりのカルト監督(1936-2015)らしいですからきっと映画も面白いでしょう。