人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ペギー・リー Peggy Lee - 私の心はパパのもの My Heart Belong To Daddy (Decca, 1953)

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ペギー・リー Peggy Lee - 私の心はパパのもの My Heart Belong To Daddy (Cole Porter) (Decca, 1953) : https://youtu.be/uHD4CzgkAK8 - 2:09
Recorded at Decca Studios, 50 West 57th Street in New York City, May 1, 1953
Released by Decca Records DL 5482 as 10-inch album "Black Coffee with Peggy Lee", 1953, also Re-Released DL 8358 as 12-inch album "Black Coffee with Peggy Lee", 1956
[ Personnel ]
Peggy Lee - vocals, Pete Candoli - trumpet, Jimmy Rowles - piano, Max Wayne - bass, Ed Shaughnessy - drums

 アルバム『ブラック・コーヒー』は白人女性ジャズ・ヴォーカルの名盤ですが、実は名高いタイトル曲は楽曲自体は割と平凡で、他の収録曲にスタンダード曲がぎっしり詰まっているアルバムでもあります。'53年の10インチ盤は8曲入りでしたが、'56年の12インチLP化の際に4曲が追加新録音されて全12曲入りになりました。この「私の心はパパのもの」は8曲入りアルバム当初から収録されていた曲に当たり、オリジナル・ヴァージョンは1938年、ミュージカル『Leave It To Me』のためにコール・ポーター(1891-1964)が書き下ろした挿入歌で、歌手ジェーン・マーティンの生涯の持ち歌になり、映画でこの曲が使われる時はジェーン・マーティンのステージ場面として多用されましたが、映画ではマリリン・モンローが『恋をしましょう』'60でも歌って好評でした。ジャズではエラ・フィッツジェラルドのヴァージョンなどもありますが、これは大スタンダード作曲家コール・ポーターの楽曲でも白人女性歌手向けの曲で、しかもジャズ・ヴォーカルでは相当な歌唱力を試される曲でしょう。
 アルバム・タイトル曲「ブラック・コーヒー」のような黒人女性ジャズ・ヴォーカル(オリジナルはサラ・ヴォーン盤)のための曲を都会的に歌いこなしたペギー・リーはこの曲でも余裕たっぷりの歌いっぷりで、この曲は難しい割には楽器で演っても面白みがないためジャズでは器楽曲としてはほとんど演奏されない曲ですが、ヴォーカルとなれば別です。また歌詞の性別を変えて女性の曲を男性が、男性の曲を女性が歌うのはヒット曲には多いのですが、さすがにこの曲を男性歌手が「Mammy」と変えて歌う、またはそのまま歌う例もほとんどないので、アルバム『ブラック・コーヒー』でのペギー・リー版が名唱の筆頭に上がるのは今後も変わりないでしょう。またこの曲が器楽ジャズとして定着しなかったのはチャーリー・パーカーの遺作『Charlie Parker Plays Cole Porter』'57の無惨な出来のせいとも思えるので、筆者はこの曲、あまり好きではありません。

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Charlie Parker Quintet - My Heart Belong To Daddy (Verve, 1957) : https://youtu.be/VMDuwDdaRnI - 3:20
Recorded at The Fine Sound Studios, New York City, March 31, 1954
Released by Verve Records Verve MGV-8007 as the album "Charlie Parker Plays Cole Porter", 1957
[ Personnel ]
Charlie Parker - alto saxophone, Walter Bishop Jr. - piano, Jerome Darr - guitar, Teddy Kotick - bass, Roy Haynes - drums