人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ツトム・ヤマシタ Stomu Yamashta's Go - ゴー・ライヴ Go Live from Paris (Island, 1976)

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ツトム・ヤマシタ Stomu Yamashta's Go - ゴー・ライヴ Go Live from Paris (Island, 1976) Full Album : https://youtu.be/tGBONBtKoxs
Recorded live in Paris at the Palais Des Sports on 12 June 1976
Released by Island Records ISLD 10, 1976, as 2LP
All songs composed by Stomu Yamashta with lyrics by Michael Quartermain, except "Winner Loser" - lyrics by Steve Winwood.
(Side 1)
A1. Space Song - 2:30
A2. Carnival - 1:12
A3. Wind Spin - 9:30
A4. Ghost Machine - 3:45
(Side 2)
B1. Surf Spin - 2:20
B2. Time is Here - 9:20
B3. Winner Loser - 5:10
(Side 3)
C1. Solitude - 2:00
C2. Nature - 4:25
C3. Air Voice - 1:19
C4. Crossing The Line - 7:50
(Side 4)
D1. Man of Leo - 15:30
D2. Stellar - 1:25
D3. Space Requiem - 3:25
[ Personnel ]
Stomu Yamashta - percussion and keyboards
Steve Winwood - vocals and piano
Michael Shrieve - drums
Klaus Schulze - synthesizers
Al Di Meola - lead guitar
Jerome Rimson - bass
Brother James - congas
Pat Thrall - guitar (solo on "Crossing The Line")
Karen Friedmann - (part of) vocal choir
(Original Island "Go Live from Paris" 2LP Liner Cover, Gatefold Cover & Side 1/2 Label)

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 アルバム『Go』の録音が'76年2月、このライヴ・アルバムの録音が同年6月で、ツトム・ヤマシタ(山下勉、Stomu Yamash'ta表記も)の「Go」プロジェクトは当初からスタジオ盤『Go』と本作『Go Live from Paris』をまとめて計画していたようです。『Go』はツトム・ヤマシタ/スティーヴ・ウィンウッド/マイケル・シュリーヴの連名名義でしたが、本作ではバンドとしては「Stomu Yamashta's Go」、LPレーベルでは「Yamashta/Winwood/Schulze/Shrieve/Di Meola」の連名名義で、スタジオ盤ではロスコー・ジー(元トラフィック~カン)が弾いていたベースはジェローム・リムソンに代わっています。翌'77年にウィンウッドはソロ・アーティストとしてデビューするので、プロジェクト最終作『Go Too』'77ではジェス・ローデンをヴォーカルに迎え、シュルツェ、シュリーヴ、ディ・メオラの3人はプロジェクトの最初から最後までヤマシタにつきあったメンバーになります。ライヴ・アルバムがパリ公演からの収録になった理由はわかりませんが、プロジェクトの性格からして国際性のアピールが念頭にあったのは間違いなく、アトランタバーミンガム、ケルンや京都などではメンバーの誰かしらの郷里に寄りすぎる。その点パリでは良い具合に国際性をアピールできる場所だったでしょう。「Go」プロジェクトの音楽性は簡単に言えばスペース・ジャズ・ロックですが、フランスのロックにはゴング、マグマ、カトリーヌ・リベロ+アルプのようなヒッピー系の大物スペース・ジャズ・ロックのバンドがおり、「Go」の音楽性はフランスのリスナーに受けるタイプのものだったのもあります。
 また、スペース・ロックと言ってもクラウス・シュルツェの関わってきた西ドイツのスペース・ロックはもっとアシッド臭いものでしたが、「Go」はメンバーの出自もあって、もっとジャズやソウル、現代音楽の味があり、さらに東洋的なエスニック風味もある。そこがシュルツェの音楽と違う点でもあればシュルツェが多くを摂取できる場でもあったと思われます。またパリは、シュルツェがアシュ・ラ・テンペルに参加した最後の年の'73年2月(コズミック・ジョーカーズ・セッション直後です)の公演でバンドの合間に50分のソロ・コーナーで演奏し、大喝采を浴びてソロ活動への自信をつけた場所でもあります。さらに'75年のシュルツェのアルバム『タイムウィンド』はフランスでヒット作になっており、この'76年6月の「Go」プロジェクト公演直前に"シャルル・クロス"ディスク大賞を受賞したばかりでした。スタジオ盤『Go』では連名名義に含まれたなかったシュルツェの名が今回は5人連名のうちヤマシタ、ウィンウッドに続いて3番目に上げられているのも、フランスでのシュルツェの人気を反映したものと思われます。しかしスティーヴ・ウィンウッドクラウス・シュルツェの共演というのも、こういうプロジェクト企画あらばこそで今となると想像を絶するものがあります。