人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジョン・レノン没後40周年

f:id:hawkrose:20201214090910j:plainジョン・レノン John Lennon - スターティング・オーヴァー (Just Like) Starting Over (John Lennon) (Geffen, 1980) : https://youtu.be/GGl8tHar-Ko

 命日の12月8日を逃しましたが、ちょうど40年前の今頃この曲がジョン・レノン(1940-1980)の急逝を受けて大ヒットしていたのを忘れることはできません。5年ぶりのカムバック・アルバム『Double Fantasy』はジョン・レノンとヨーコ・オノの共作として前月の11月に発表され、シングル「スターティング・オーヴァー」はアルバムより少し早めに先行発売されました。曲調にはロイ・オービソンの数々の名曲ややビーチ・ボーイズの「Don't Worry Baby」との類似が見られます。アルバム発売前にNHK-FMでアルバム収録曲からジョン・レノン分7曲がオン・エアされ、カセットテープに録ってくり返し聴き、シングル盤は発売当日に本厚木の有隣堂の隣にあったレコード店に学校が終わったあとで買いに行きました。アルバムの方は買うのをためらっていました。ラジオでエア・チェックした7曲以外はヨーコさんの曲でしたから。アメリカのビルボードのチャートでは1位のブルース・スプリングスティーン「ハングリー・ハート」がロング・ヒットを続けており、「スターティング・オーヴァー」はトップ3内にとどまっていた記憶があります。殺害事件の訃報を聞いたのはそれから半月も経たない頃でした。下校して家に着き自室のラジオを点けたら報道が流れてきて、茫然自失としてわけがわかりませんでした。まだ父は存命でしたが、父の訃報を聞いたらこんな気持になるんじゃないかと思いました(2年後に母を亡くした時にはそれどころではありませんでしたが)。1980年はジャズではビル・エヴァンスが亡くなった年ですが、春先に予定されていたポール・マッカートニーウィングスの来日公演がポールのマリファナ所持逮捕で流れたりと情けない事件もありましたから、ジョンのカムバックとその直後の殺害事件ほど劇的なクライマックスもありませんでした。2020年、もしジョン・レノンが長らえて年末を迎えて逝去していたら、世間の話題はその功績よりも経済効果ばかりになったでしょう。幸い1980年にはレノン急逝による経済効果などという浅ましい話題は起こりませんでした。40年間で人の心も変わったものです。生誕80周年・没後40周年でジョン・レノンが特に話題になるほどでもなく、今年も間もなく年が代わります。20年、30年、40年刻みで否応なしに風化していくものはあるものです。