人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

あとがきジョン・レノン全訳詞

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さてジョン・レノン全訳詞も完結した。予想以上に後期作品への当惑がコメントに寄せられた。訳者も同感で「ヌートピア宣言」以降の作品がこんなに「ジョンからヨーコへ」一色とは思わなかった。あらためて整理してみよう(原題略)。

○ジョンの魂(プラスティック・オノ・バンド名義・1970)*画像1
○イマジン(1971)*画像2
○サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ(ジョン&ヨーコ~プラスティック・オノ・バンド名義・1972)
○ヌートピア宣言(マインド・ゲームス)(1973)
○心の壁、愛の橋(1974)*画像3
○ロックン・ロール(1975)
ジョン・レノンの軌跡~シェイヴド・フィッシュ(レノン・プラスティック・オノ・バンド名義・1975)*画像4
○ダブル・ファンタジー(ジョン・レノン&ヨーコ・オノ・1980)
○ミルク・アンド・ハニー(ジョン・レノン&ヨーコ・オノ・1980録音・1984)
○ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ(1972録音・1986)
○メンローヴ・アヴェニュー(1974録音・1986)

結局ジョン・レノンの真髄は画像掲載したアルバム4作(4は一時引退前にまとめられた、アルバム未収録シングルを含むベスト・アルバム)に尽きるのではないか、というのが感想になる。

先にボブ・ディランからほぼ30曲を選び、一篇一篇を全訳した。ディランはそれで良かった。それに案外当然のことだが、作者の身の上話など知らない聴き手にも届く。
ジョンの歌詞は全訳すると冗長になる。1番・サビまで訳すと2番以降はそのヴァリエーションで、ロックの歌詞としてはいいが読む歌詞としては1番・サビで完結しており、2番以降は無限に続けられるようなものだ。ライム(抒情詩)の形式以外の曲はなく、ディランやポールのように数連で完結した世界をつくるバラッド(物語詩)はレノンにはほとんど見られない。そこに作詞家としての個性も限界もある。

「ジョンの魂」はレノン自身の自己形成史、「イマジン」は現状を歌ったアルバムだが、単なる身の上話にならなかったのは客観的にひとりの男が描かれていたからだった。
だが続く2作はファン限定のような作品だった。次に「心の壁、愛の橋」があり、5年のブランクとカムバックがあった。
早逝しなければ?わからない。わからない。