メリー・ホプキン Mary Hopkin - 悲しき天使(ゾーズ・ワー・ザ・デイズ) Those Were the Days (Boris Fomin, Gene Raskin) (Apple, 1968) : https://youtu.be/9mac-TLucdo
ビートルズの設立したアップル・レコーズ第一弾アーティストとして1968年8月26日アメリカ、1968年8月30日イギリス、1968年(昭和43年)12月5日日本発売。プロデュースはポール・マッカートニー。イギリスでは9月にチャート1位、アメリカでは11月にチャート2位、日本では1969年2月に1位(17週連続1位のピンキーとキラーズ「恋の季節」を抜いて)。当時18歳のメリー・ホプキン(1950-)さんはその後、'70年代イギリスの大プロデューサー、トニー・ヴィスコンティ夫人になっています。特に冬とも関係ない望郷歌の歌詞なのにどこか冬っぽさを感じさせる哀愁メロディーなのはなんでかな、日本で大ヒットしたのが冬だったから冬にオン・エアされることが多いからかな、と特に好きでもない曲なので長年ぼんやり考えていましたが、「走れトロイカ」にもそっくりなこの曲、もともと19世紀末~20世紀初頭のロシア民謡をロシアの音楽家ボリス・フォーミン(1900-1948)が既成の詩人の詩に当てはめて、ユダヤ民謡(クレヅマー)・ジプシー民謡音階にメロディーを整理して歌曲化したのが原曲だそうです。もっとも著作権登録上メリーさんの英国詞ヴァージョンは当初イギリスの作曲家ジーン・ラスキンの作詞作曲とクレジットされて発売され、現在はフォーミンとラスキンがともに作詞作曲者として並記されるようになっているそうです。以上、もっと詳しい解説は日本海版・英国版ウィキペディアに載っていますので、気になる方はそちらをご覧ください。この曲は欧米・南米諸国でも軒並み大ヒットとなり各国語版のカヴァーが続出し、日本語詞でのカヴァー・ヴァージョンもあるので小中学生の頃の朝礼で合唱させられた覚えもあり、たぶんそれも冬の体育館だったりしたのでしょう。この曲はださい、特にリズム・ブレイクして「Those were the~」と歌いだす大サビの全然跳ねないシャッフルのリズムがださいと子供心に恥ずかしさに身もだえしながら嫌々合唱していたものですが、おそらくこの短調のメロディーは人類のDNAに否が応でも染みついたもので、それでなければ全世界的特大ヒットもスタンダード曲化もしていなかったでしょうから恥も外聞もない代物です。トィッギーの推薦でアップル社にスカウトしてプロデュースしたポール・マッカートニーさんもまたとんでもないセンスのミーハーだったことがわかる「天使の歌声」メリーさんの「悲しき天使」、冬の夜長にぜひお聴きください。