人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

俳句・2

[凍死体連作]

・寝返りも打てずひたすら硬直す

・窓開けて寝れば凍死に至るかな

・生きながらわれ凍死体となりにけり

・凍死体それでもガスがまだ出るか

・凍死体ならばハエすら止まらずに

・凍えれば寝返り打てる凍死体

・退屈のあまり寝返る凍死体

・無理矢理に動けばひび割れ凍死体

・意志もなく我が身砕ける凍死体(連作・了)

(寒き夜に裸になりて寝たならば明くる朝は凍え死ぬべし(鍋島光茂))

[寝タバコ布団連作]

・寝タバコの夜はしんしんと更けにけり

・生涯を寝タバコ布団で過ごすなり

・寝タバコの布団で過ごす余生かな

・掛け布団だけ無事ならばミノムシに

・握りこぶし寝タバコ布団に貫通す

・ミノムシの夜は娘らが夢枕

・ミノムシの中年忍び泣けり冬

・膝掛けで寝タバコ布団の穴を覆う

[恋人より布団贈られる]

・最愛の人に贈られし布団で女抱く

・気にもせず布団喜ぶ女かな

・「その人にちゃんとお礼をしなくちゃね」

・晴れ晴れと退院女布団出る

・「このままでずっといられたらいいのにね」