[凍死体連作]
・寝返りも打てずひたすら硬直す
・窓開けて寝れば凍死に至るかな
・生きながらわれ凍死体となりにけり
・凍死体それでもガスがまだ出るか
・凍死体ならばハエすら止まらずに
・凍えれば寝返り打てる凍死体
・退屈のあまり寝返る凍死体
・無理矢理に動けばひび割れ凍死体
・意志もなく我が身砕ける凍死体(連作・了)
(寒き夜に裸になりて寝たならば明くる朝は凍え死ぬべし(鍋島光茂))
[寝タバコ布団連作]
・寝タバコの夜はしんしんと更けにけり
・生涯を寝タバコ布団で過ごすなり
・寝タバコの布団で過ごす余生かな
・掛け布団だけ無事ならばミノムシに
・握りこぶし寝タバコ布団に貫通す
・ミノムシの夜は娘らが夢枕
・ミノムシの中年忍び泣けり冬
・膝掛けで寝タバコ布団の穴を覆う
[恋人より布団贈られる]
・最愛の人に贈られし布団で女抱く
・気にもせず布団喜ぶ女かな
・「その人にちゃんとお礼をしなくちゃね」
・晴れ晴れと退院女布団出る
・「このままでずっといられたらいいのにね」