人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

朝鮮の詩人・李箱( イ・サン)

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李箱(イ・サン)は1910京城(現ソウル)生まれ。十代から早熟な執筆活動を始め、デカダンスモダニズムの特質を共にそなえて、現在では韓国現代文学創始者として評価が定まっています。1937年、東京で思想犯の嫌疑で逮捕され、拘置中で健康悪化。保釈まもなく急逝。享年27歳。
小説ではホステスとヒモの生活を描いた短篇「翼」、詩では連作「烏瞰図」(「鳥瞰図」ではなく「烏」)が代表作。「詩第一号」(1934年)を引用します。

十三人の子供が道路を疾走する。
(道は袋小路の方が適当である。)

第一の子供が怖いと言う。
第二の子供も怖いと言う。
第三の子供も怖いと言う。
第四の子供も怖いと言う。
第五の子供も怖いと言う。
第六の子供も怖いと言う。
第七の子供も怖いと言う。
第八の子供も怖いと言う。
第九の子供も怖いと言う。
第十の子供も怖いと言う。
第十一の子供も怖いと言う。
第十二の子供も怖いと言う。
第十三の子供も怖いと言う。
十三人の子供は怖い子供と怖がる子供だけが集まっている。
(他の事情はない方がむしろよい。)

その中の一人の子供が怖い子供でもよい。
その中の二人の子供が怖い子供でもよい。
その中の二人の子供が怖がる子供でもよい。
その中の一人の子供が怖がる子供でもよい。

(道は通り抜けの小路でも適当である。)
十三人の子供が道路を疾走しなくてもよい。