人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

躁鬱・摂食障害の嗜癖問題・診断

「躁の時ネット通販で数十万円の買い物をしてしまったのは古本と中古CDです。自分ではほんの数万程度と思っていました。典型的な躁状態の行動です。
摂食障害の患者の半数以上が窃盗を起こす、という調査も精神医学の課題になっています。解離性障害(無意識の願望による行動。この場合は自分の精神的病状を気づいてもらいたいという願望)だけでは説明がつかず、いまだ定説に至っていません(ぼく自身も摂食障害を、躁・鬱のどちらともの悪化に伴ってしばしば経験しました)。偏見を招きかねないのは、摂食障害すなわち万引き常習者という早とちりです。十分な理解が行き渡るのは難しいと思います」
「病名を明確にしないのはすでに挙げた通りに患者が反発する場合が多いのと、精神医学では医師の数だけ診断が違うと医療者側でも認める通り、絶対に確実な診断方法も診断結果もないのです。
いわば経験則による医療、問診と薬物療法認知行動療法が現在では主流ですが、かつての電気ショック療法、ロボトミー手術(ノーベル賞を授賞しました)という失敗例から較べれば病状の進展にできるかぎり柔軟に対応した慎重な治療法だと思います。
1940年代のアメリカでは統合失調症候群には電気ショックが常態化していました。医療側でも実験段階の治療法だと見なしていたと思われるのは、白人の成人男性には施術が控えられていたことでも推察されます。施術の対象になったのは黒人をはじめとする有色人種、白人の場合は未成年者と女性でした。
少々話題が逸れましたが、ひとりの患者としても、明確で妥当な診断に辿り着くまで時間がかかる場合と、すぐに診断が下せる場合があるのを感じます。また、医療者との信頼をうまく築けないのが女性患者と女性家族なのを多く見てきましたが、一言でいうと要求が高すぎる。迅速な快癒を無理に求めるのです。それで不満と不信が生まれる。これは女性蔑視に当るのでしょうか?電気ショックの方がいいのでしょうか?」
「ベテラン介護福祉士の方にうかがった話では、若くして発症して家族と同居の患者さんでは躁の治まった頃にどっさり請求書が届く、精神的にまだ未成年と大差ないから肉親だと遠慮なく暴力をふるう、などたいへんだそうです。治療自体は早くから始めた方がいいのですが、発症に伴う症状(行動)は青年であるほど激しい、とのことでした」