1969年11月発表、12曲44分。バックは本人演奏のギター、ピアノ、オルガンのみ。多重録音はなし。作曲はすべて自作、作詞は1曲のみ本人で他は友人に委託。それがジャックス解散直後に発表され、25年後の音楽活動再開まで早川義夫唯一のソロ・アルバムとなっていた「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」になる。このアルバムからは相沢靖子作詞の『サルビアの花』がフォーク・スタンダードになった。
いつもいつも思ってた
紅いサルビアの花を
あなたの部屋に投げ入れたくて
そしてベッドに紅い花敷きつめて
僕は君を死ぬまで抱きしめていようと
なのになのにどうして他の人のところへ
僕の愛の方が素敵なのに
(以下略)
唯一の早川自身の作詞曲はかなり幻想味が強い。
『聖なるかな願い』
窓の外は太陽を求め
あらゆる茎が曲がろうとする
雨は花はそして旅は
僕をひとりつれてゆく
僕はもう後ろを見ない
僕の背中は作り物でない
僕の全てが君にのまれようと
古い着物を脱いでゆく
君が見える君が見える
揺れうごく水の城の中に
君の君の胸に光る
聖なるかな僕の願い
アルバムA面は主に柏倉秀美、B面は出来里望の作詞による。両者とも秀逸だが、特にB面の統一感は素晴らしい。3曲連続引く。
『知らないでしょう』
知らないでしょう あなたの帰らない
私の悲しい昔のことなぞ
足で煙草を吹かしながら
煙まで出たのですから
死んでいるのにいつまで私を
見つめているのですか
もうそんなに見つめることはない
私は空を飛んでいるのですから
あなたのもとには戻りませんよ
私は気ままな者ですから
『枕歌』
夜露は尾花と寝たという
母親は死んだ
父親は髪をなであげ
私は胸をひろげた
尾花は夜露と寝ぬという
父親は死んだ
部屋には霧が立ちこめ
私のコートは女に
『しだれ柳』
つれない貴方もうお別れ
弟を抱いた柳のとこへ
しだれ柳のもとへ
橋のたもとは露に濡れ
水はよどんで流れない
沈んでいった貴方
歌詞だけだとよくわからないと思う。音楽性はジョン・レノン「ジョンの魂」に近い(こっちのほうが早い!)。オリジナルLPではジャケットの少女は貼り絵だったという。