人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

頭脳警察70's( 後)

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(前篇より)
70年代頭脳警察には他に単独の公式ライブCDとして「頭脳警察LIVE!」1990(録音1975年)、「1973・10・20日比谷野音'聖ロック祭'」2001の2組の発掘ライブ、さらには限定版発掘10枚組ライブがある。10枚組はメンバー・チェンジによるライブの変化を楽しめ先の2組にひけはとらない。なによりアルバム曲のほとんどがソリッドなライブ・アレンジで聴けるのが貴重だが、予約完売。
ぼくは幸いパンタの元スタッフに借りて聴けたが、高校時代にこんなの聴いたら血尿が出ただろう。昨年の90年代~現在10枚組を出すならこれも再発売してほしかった。
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前回のリストの通り、最初の2枚は流通するまで長い年月がかかった。「1」などは600枚通販限定で、2001年6月のCD化まで録音から30年、限定リリースから25年になる。30年前に高校の先生がカセット・テープに録ってくれたぼくはツイていた。当時は100万円ともいう中古盤レートがついていて、ジャックスや村八分とともにカセット・コピーの海賊盤も数千円で出回っていたのだ。
「1」はライブ録音。冒頭から「革命三部作」と呼ばれる『世界革命戦争宣言』『赤軍兵士の詩』『銃をとれ』と続き、美しい『さようなら世界夫人よ』で締める完璧なA面。ストーンズ『サティスファクション』キンクス『ユー・リアリー・ガット・ミー』ザ・フー『マイ・ジェネレーション』に肩を並べる切り札がある日本のバンドはそうはいない。もちろん『銃をとれ』がそれだ。
ビクターは政治的・性的歌詞から「1」を発売中止した。すかさず「セカンド」が制作・発売される。屈指の名盤になったが今度は発売後1ヶ月で店頭回収処分になる。そこでひるまず頭脳警察はあらかじめ本来の歌詞をNGワード連発のレコ倫バージョンを作り、没になってから元に戻して無事発売という奇策に出る。それが「3」で、「セカンド」に準じる名作。ここまでがすべて72年1年間。
73年の「誕生」「仮面劇のヒーローを告訴しろ」はトシ不参加、アレンジに馬飼野康二を迎えたパンタのソロ的作品。前者はバラード、後者はバンド・サウンドで曲は悪くないが、評価は一段落ちる。
解散は75年末。最後のアルバム「悪たれ小僧」は「セカンド」以来の傑作。解散を意識した曲が並ぶ。その暗さが好みを分けるかもしれない。