人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ボブ・ディラン『風に吹かれて』

イメージ 1

イメージ 2

当時の恋人と腕を組んで歩くジャケットでも有名な1963年の第二作「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」'The Freewheelin' Bob Dylan'(写真上)に収録、原題'Blowin' In The Wind'。ディランを一躍時の人としたのはまず新しいフォークのソングライターとしてで、この曲もピーター、ポール&マリーのシングルでNo.1ヒットになり発表即古典的名曲になった。ありふれたコード進行で、鼻唄をつけながら喫茶店でさらりと書いたという。ディラン自身がソングライターにしぼるかシンガー/ソングライターで行くか迷っていたので結果的にPP&Mに提供することになった。
「フリーホイーリン~」は名盤だが、ディラン本人の『風に吹かれて』を聴こうという方には66年までの曲を集めた「ボブ・ディランズ・グレイテスト・ヒッツ」(同年・写真下)をお薦めしたい。バイク事故療養中に出たLP時代の選曲だから10曲・40分とこぢんまりしているが、名曲ばかりで腹八分目がちょうどいい。
さて『風に吹かれて』だが、解説は『時代は変る』へ持ち越す。特に『風~』では同一構文(疑問文により訴求力を強める)の反復、単語のコントラスト、控えめで素朴なアジテーション性が際立つ。『イマジン』も『遠い世界に』もこの曲の嫡子だろう。

『風に吹かれて』

どれだけの道を歩いたら
一人前と認められるのだろう
どれだけの海を越えれば白い鳩は
砂浜で眠れるのだろう
どれだけの弾丸が降りそそいだら
武器は永遠に禁止されるのだろう
答えは、友よ、風に吹かれている
答えは風に吹かれている

どれだけ何度も見上げていれば
青い空が見えるのだろう
どれだけの耳をつければ独裁者は
人々の声が聞こえるのだろう
どれだけの人が死ねば彼にもわかるのだろう
死んだ人があまりに多いことを
答えは、友よ、風に吹かれている
答えは風に吹かれている

どれだけの年月を山は存在するのだろう
海に洗い流される前に
どれだけの年月あの人たちは存在するのだろう
自由が許可される前に
どれだけ人は顔をそむけ続け
見ないふりをしていられるのだろう
答えは、友よ、風に吹かれている
答えは風に吹かれている
(前記アルバムより)