人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「ドレミファ娘の血は騒ぐ」1985

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この映画について教えてほしいと質問があった。この作品の製作時には生まれてもいない少女からである。「ついでだから記事にして明日掲載しましょう。ユーザー・ガイドとして客観的に書けば★★がやっとですね。ただし洞口依子の主演作ということでは絶大な価値があります」

まず作品の成立から。立教大学の映画サークル「パロディアス・ユニティ」に所属していた黒沢清(1955-)は「School Days」などの作品で名を上げ、「しがらみ学園」で「ぴあグランプリ」を授賞。長谷川和彦に誘われ「太陽を盗んだ男」の助監督を勤めて地獄を見、相米慎二監督の「セーラー服と機関銃」でも助監督に登用される。
当時3本立て(2本は自社、1本は独立制作社)だったにっかつロマンポルノ配給の「神田川淫乱戦争」1983が長篇劇場映画第一作となり、同期デビューの周防正行「変態家族・兄貴の嫁さん」と並んで話題を呼ぶ。だが周防が「シコふんじゃった」「シャル・ウィ・ダンス?」で一般映画の監督と認知される一方、黒沢の評価は90年代後半まで定まらなかった。

「ドレミファ娘~」はロマンポルノ配給作「女子大生・うれし恥ずかしゼミナール」が原型だがにっかつによって却下され、ポルノ的要素のカット(もともとこの映画にはヌードはあるがセックスは描かれない)と追加シーン・改題のうえ一般映画として公開された(1985年)。未熟でひどい映画だが大森一樹風の歌を聴け」や山川直人「ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け」ほどではない。
結局80年代はアート・シアター・ギルド「家族ゲーム」の森田芳光、ディレクターズ・カンパニー「台風クラブ」の相米慎二(ともに1983年)が突出した才能だったが、いまや両者ともに故人となった。

ストーリーは三部構成で、大体こんなところ。
(1)ヒロイン秋子(洞口)は都会の大学に通う吉岡先輩(加藤賢崇)を慕って家出してくるが、大学は秋子の憧れとはほど遠い猥雑なところだった。秋子はエミ(麻生うさぎ)の部屋にやっかいになる(画像2)
(2)秋子の純情素朴さが目にとまり、平山教授(伊丹十三)の「うれし恥ずかし実験」の被験者になる。全裸で横たわる秋子。測定器の針が降りきれて大爆発が起こる。
(3)川原で銃撃戦が行われる(画像3)。延々銃撃戦が続き、映画は終る。
わかりますか?そういう映画だったんです。