人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(15)ザ・ハプニングス・フォー

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このGSきっての異端バンドは博多で64年に結成されたジャズ・トリオが母体で、抜群の歌唱力を持つバンドボーイ、トメ北川をヴォーカルに、ギターレス編成でザ・ハプニングス・フォー黛敏郎から命名、67年11月に横尾忠則デザインのシングル『あなたが欲しい』でデヴュー。オリジナル曲の全作詞作曲編曲を手掛けるリーダー・クニ河内はタイガースを始めとするセッションでスタジオ・ライヴ・楽曲提供と融通無碍なキーボード奏者で、対外活動を嫌うゴールデン・カップスミッキー吉野に毛嫌いされたほどだった。だがハプ・フォーの演奏トリオ、クニ河内・ペペ吉弘(b)・チト河内(ds)はデヴュー時点で苛酷なステージ活動を5年あまり共にしており、どんな要求でも即座に応じる熟達した職人集団だった。
掲載アルバムは、
○「マジカル・ハプニングス・ツアー」1968.7(画像1)
○「クラシカル・エレガンス バロック&ロール」1969.5(画像2)
○「アウトサイダーの世界」1970.5(画像3)
○「引潮・満潮」1971.8(画像4)
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の全4作が所属レーベルの東芝から出たが、東芝からはさらに変名の洋楽インスト・カヴァー盤「ハプニング・ポップス'68」1968.10があり、フラワーズ、モップスカップスをLP2枚組に収めたライヴ盤「ロックン・ロールジャム'70」1970.4にも参加。さらにバンド末期(とはいえその後も活動を共にするが)の71年にはカセット・レーベルのアポロンから洋楽カヴァー・アルバム「決定版!R&Bベスト16」「伊東きよ子とザ・ハプニングス・フォー」をリリース。数年前にもオリジナル・メンバーでBSの音楽番組に出演、新作も発表。気迫ある現役感と余裕の貫禄を見せた。

シングル8枚中7枚をクニ河内の自作で通したハプ・フォーだが、アルバム第一作はシングル曲以外大半が洋楽カヴァー。だがピアノ/オルガン・トリオの編曲で見事にダンサブルに仕上げている。
第二作の素材は流行の洋楽をバロック音楽アレンジで聞かせる、というもの。彼ら以外にはこんな芸当は無理。
シノ篠原加入で2キーボードになった第三作は出世をテーマにした全曲オリジナルのパロディGS演歌。最終作は人の誕生から死までを描いたシリアスなプログレッシヴ・ロック大作。
…というバンドだった。冗談と本気の境目がつかないのだ。