人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(2)PiL. 'Commercial Zone' - 1984

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 セックス・ピストルズの解散後ジョニー・ロットンが始めたバンド、パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd.以下PiLと略)の1984年の新作「コマーシャル・ゾーン」(画像1)は今やバンドの未公認アルバムとして海賊盤か、再録音盤(画像2)か、または部分的にボックス・セット(画像3)でしか手に入らない。いわばPiL版「スマイル」(ビーチ・ボーイズ)なのだが、最初は正規盤として大手輸入盤店でも堂々と販売されていた。それは前回に書いた。
 英文ウィキペデアによると筆者の入手したのは初回プレス(2ndプレス以降と曲順が違う)、初回プレスについては記述がないが2ndプレスは3万枚とある。これはイギリスのローカル・バンドとしては十分なヒットと言ってよい。

 だが当初から変な感じはしていた。先行シングル『ラヴ・ソング』(英5位)はともかく、日本盤の発売の気配がない。発売元もPiL Record Inc.とあり、レコード番号はXYZ007と冗談めいたもの。やがて正規盤「ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント」が発売され、「コマーシャル・ゾーン」は脱退したメンバーが自主制作レーベルから発売したものだと判明した。

 PiLのメンバーはジョン・ライドン(vo、ジョニー・ロットン改め)・キース・レヴィン(g,synth)・ジャー・ウォッブル(b)・マーティン・アトキンス(ds)で78年からスタートした。だが安定していたのは初期2作だけで、スタジオ3作目からは1作ごとにメンバーが抜けていくことになる。リストを見よう。

1.Public Image Ltd.(First Issue)-1978
2.Metal Box(Second Edition)-1979
3.Paris In The Spring-1980(ライヴ)
4.Flowers Of Romance-1981(ウォッブル脱退)
5.Live In Tokyo-1983(レヴィン脱退)
6.This Is What You Want This Is What You Get-1984(アトキンス脱退・'Commercial Zone'再録音アルバム)

 'Commercial Zone'の制作は4と5の間に丸一年をかけて行われている。次回でアルバムの内容を解説しよう。(続く)