人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(23)ハービー・ハンコック(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Herbie Hancock(1940-,piano)。やっと現存者が出てきた。もっともハンコックに異論はないが、モダン・ジャズの巨匠25人に3人だけ現存者がいるというのも何か座りの悪いものがある。たとえばマイルス・バンドで同僚だったウェイン・ショーター(テナー・サックス)。良きライヴァルと言えたコルトレーン・カルテットのマッコイ・タイナー(ピアノ)。ハンコックの後任に相次いでマイルス・バンドに加入したチック・コリアキース・ジャレット(共にピアノ)。ハンコックに近い立ち位置の同世代の巨匠たちでもこれだけいる。また、ハンコックを紹介するにしても50年以上におよぶ楽歴をこの小文で伝えるのは難しい。70年代にはジャズ・ファンク、80年代にはヒップ・ホップへ進み、90年代以降はジャズの復権と共に王道ジャズを蘇らせた人、と思えば間違いない。ハンコックの輝きは60年代ジャズにフリーでもバップでもない新しさをもたらしたことだろう。

ハンコック参加のマイルスのアルバムを列挙してみよう(スタジオ盤のみ。*はライヴ)。
○天国への七つの階段(1963)
○マイ・ファニー・ヴァレンタイン(1964*)
○フォア・アンド・モア(1964*)
○E・S・P(1965)
○マイルス・スマイルズ(1966)
ソーサラー(1967)
○ネフェルティティ(1967)
○ウォーター・ベイビーズ(1967-68)
○マイルス・イン・ザ・スカイ(1968)
キリマンジャロの娘(1968)
○イン・ア・サイレント・ウェイ(1969)

泣く子も黙る名作・傑作が目白押し。ハンコックはまだ20代。この間ブルー・ノートに残した参加作は30枚、自己名義は7枚。全曲オリジナル。
○テイキン・オフ(1962)
○マイ・ポイント・オブ・ヴュー(1963)
○インヴェンションズ・アンド・ディメンションズ(1963)
○エンピリアン・アイルズ(1964・画像1)
○処女航海(1965・画像2)
○スピーク・ライク・ア・チャイルド(1968・画像3)
○ザ・プリズナー(1969)

と、マイルス・クインテットの重厚さ・妖気とは違った風通しの良い涼しさがある。特に「処女航海」表題曲には明らかに前時代のジャズを刷新した感受性がある。これを人は後に新主流派と呼ぶ。