人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9i)ハービー・ハンコック(p)

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Herbie Hancock(1941-,piano)。
前回触れた通りこの連載で扱う時期のハンコックはブルーノート社リーダー作7枚、サイドマン参加作35枚にマイルス・クインテット15枚で、リーダー作はすべて、マイルス作品もほぼ全作となるとブルーノート社でのサイドマン参加作は十数枚しか扱えない。ハッチャーソンなら'Components'と'Oblique'を落として'Happenings'にしぼらないとグラシャン・モンカー三世やサム・リヴァースが入らないのだ。

マイルスの本格復帰でハンコックはリーダー作も他のサイドマン参加作も減少する。今回からはほとんどマイルス作品となる。
今回は、
Miles Davis:Miles Smiles(画像1)66.10.24&25
-:Sorcerer(画像2)67.5.16-17&24
-:Nefertiti(画像3)67.6.7,22-23&7.19

これはすごい。泣く子も黙るマイルス流冷血非情ジャズの頂点で、「E.S.P.」をさらに押し進めたものであり、80年代以後のジャズではこれらは現代ジャズの教科書になったが同時代では曲のわかりやすさ(ショーターの'Footprints',エディ・ハリスの'Freedom Jazz Dance'などの変型ブルース)からか「スマイルズ」が「E.S.P.」よりは好評で迎えられ、究極の双子作「ソーサラー」と「ネフェルティティ」は反感すら買った。この三作はオリジナルはショーターがほとんど書いている。「ネフェルティティ」のタイトル曲は管楽器はテーマの反復だけで、リズム・セクションだけがインプロヴィゼーションを行う。「ソーサラー」は冒頭の'Prince Of Darkness'がダークかつ邪悪で、そういう音楽的ムードも嫌われたのだろう。

ハンコックの楽曲は「スマイルズ」ではなし、「ソーサラー」ではタイトル曲、「ネフェルティティ」では'Madness'と'Riot'の2曲。マイルスの好みか、収録曲名からして狂気っぽい。
スマイルズ」の'Orbits','Dolores'はショーター作だが、ハンコックはずばりトリスターノ的な演奏で、マクリーン「イッツ・タイム!」の'Cancellation'でも前科があった。やっぱりそうか。