人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(36b)ジョニー・グリフィン(ts)

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サイドマン活動から見るジョニー・グリフィンはビッグ・バンド出身だけあってなかなか多彩な作品に参加している。57年はジャズ・メッセンジャーズで5作、うち1作はピアノにモンクを迎えた「ウィズ・セロニアス・モンク」で、翌58年にはモンク・カルテットに加入し傑作ライヴ盤「セロニアス・イン・アクション」と「ミステリオーソ」(画像1)で溌剌とした演奏を聴かせる。前記メッセンジャーズ盤もモンク曲集でピアノもモンク自身なのに、メッセンジャーズ盤はメッセンジャーズの、モンク盤はモンクの音楽になっている。グリフィンも当然それを理解した演奏をしている。ここら辺がどこへ行っても自分の芸風を貫くロリンズ、コルトレーンらと違うところだ。意外にもグリフィンは演奏の出来不出来が激しい、豪快そうでナイーヴな面があったという。

グリフィンの参加作にはかの名盤、ランディ・ウェストンの「リトル・ナイルズ」58(画像2)もある。ウェストンは抜群の個性派ピアニストで実力者なのだが、モンクよりもさらにバップ~ハード・バップの流れから遠い音楽性で作品の質は高いがジャズの主流からなんとなく遠い。この七人編制のアルバムも曲よし編曲よし演奏よし、文句のつけ所がないのだが、10年に1度くらい限定再発売されては完売、プレミアがつき、再発売されるがやはり限定で…を繰り返してきたアルバム。で、グリフィンさんは神妙にアンサンブルを吹いていてベース・ソロより目立ちません。このジョージ・ジョイナーは参加作をことごとく失敗作にすると定評ある前のめりベーシストなのだが、このアルバムでははまった。
ベーシストといえばリヴァーサイド・レーベル移籍後はグリフィンはシカゴ出身同士のよしみでモンク・カルテットのウィルバー・ウェアとよくつるんだ。グリフィンがカルテット加入と入れ違いにウェアは職務怠慢(ずる休みの常習者だったらしい)でクビになったので、グリフィン作品の常連で糊口をしのいだ。この人はハード・バップ時代の変態No.1ベーシストと言われる。ちょっとした名物男だったらしい。リーダー作に「ザ・シカゴ・サウンド」57(画像4)がある。もちろんグリフィン参加。

あと1枚は決定盤、ウェス・モンゴメリーの「フル・ハウス」62(画像3)。渡欧以降の参加作もいいものがあるが、在米中はここまでになる。